2025.06.18
宅建合格後の手続き完全ガイド | 登録に必要な書類や費用をわかりやすく解説

著者情報

我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
宅建試験に合格したからといって、すぐに『宅地建物取引士(宅建士)』を名乗れるわけではありません。宅建士として働くためには、試験合格後にやるべき手続きがあります。

本記事では宅建士に登録する流れや必要書類、費用などを詳しく説明します。登録後の選択肢もご紹介しますので、試験に合格した方はぜひ参考にしてください。
この記事の要約
- 宅建士になるには試験合格後、登録実務講習や資格登録が必要である
- 必要書類や費用を事前に準備し、早めの手続きが重要である
- 宅建士資格は、不動産会社勤務や起業など多様なキャリアに活かせる
宅建士試験合格後の流れ・手続き
「宅地建物取引士証(宅建士証)」は、自分が宅地建物取引士(宅建士)であることを証明するためのカードです。これがなければ、宅建士としての独占業務はできません。
そのため宅建試験に合格したら、次の流れで宅地建物取引士証の交付手続きを進めていきます。
- 登録実務講習を受ける(実務経験が2年未満の場合)
- まず、宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受けるためには、申請時点から過去10年以内に宅地建物取引業者で働いた実務経験が2年以上必要です。
- 宅地建物取引士証の資格登録申請をする
- 続いて、宅建士証の資格登録申請を行います。
- 法定講習を受ける(試験合格から1年以上経過している場合)
- 宅建士の試験合格から1年以上経過している方は、法定講習を受ける必要があります。
- 宅地建物取引士証の交付申請をする
- 宅建士証の登録完了通知書が届いたら、最後に交付申請を行います。
- 宅建士証が届く
- 交付申請を終えたら、あとは宅建士証が届くのを待つのみです。

申請から登録完了までには1〜2か月ほどかかるので、流れを頭に入れて、合格通知が届いたら早めに準備を始めましょう。
1.登録実務講習を受ける
まず、宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受けるためには、申請時点から過去10年以内に宅地建物取引業者で働いた実務経験が2年以上必要です。
実務経験がない方や2年未満の方、実務経験から10年以上経過している方は、手続きをする前に、まずは登録実務講習を受けなくてはなりません。講習は国土交通大臣の登録を受けた機関で受けられるので、「登録実務講習実施機関一覧」で最寄りの受講場所を確認してみてください。
どの講座でも約1か月の通信講座受講後に1〜2日のスクリーニングを経て、修了試験となります。費用は受講先によって若干差があるものの、2万円前後です。
登録実務講習を受ければ、実務経験を積まずとも宅建士証の交付を受けられるようになります。なお、合格発表後は受講の申し込みが混み合い、予約が数か月先になることも珍しくありません。

交付を急ぐ方は、合格がわかった時点ですぐに申し込みましょう。
参考:国土交通省「登録実務講習実施機関一覧」
2.資格登録申請をする
続いて、宅建士証の資格登録申請を行います。
合格から1年以内の申請の方は、登録する都道府県のウェブサイトでダウンロードした「宅地建物取引士資格登録申請」に必要事項を記入します。
必要書類を全て用意したら各都道府県の窓口で登録手数料の37,000円を支払い、これで登録申請は完了です。申請から1か月前後で、自宅に登録完了通知書が届きます。
オンライン申請について
2024年(令和6年)5月25日より「国土交通省手続業務一貫処理システム(eMLIT)」でオンライン申請もできるようになりました。
参考:国土交通省「宅地建物取引業の免許申請等のオンライン化について」
3.法定講習を受ける(試験合格から1年以上経過している方のみ)
宅建士の試験合格から1年以上経過している方は、法定講習を受ける必要があります。各都道府県の宅地建物取引業協会のウェブサイトで受講場所を確認し、受講の申し込みをしてください。
受講費用は一律で、以下のように決まっています。
- 講習受講料:12,000円
- 交付手数料:4,500円
登録実務講習のように通信講座や修了試験はなく1日で終わりますが、講義と宅建士証の交付で、7〜8時間ほどかかります。
4.宅地建物取引士証の交付申請をする
宅建士証の登録完了通知書が届いたら、最後に交付申請を行います。
「宅地建物取引士証交付申請書」と必要書類を持参し、登録申請と同様に窓口で交付申請してください。交付申請も「国土交通省手続業務一貫処理システム(eMLIT)」でのオンライン申請が可能です。
5.宅建士証が届く
交付申請を終えたら、あとは宅建士証が届くのを待つのみです。宅建士証の交付までにかかる期間は1か月が目安ですが、東京都であれば即日(約30分)、大阪府は7〜10日で受け取れます。
宅建士証が手元に届いたら、宅地建物取引士として不動産取引での重要事項の説明や記名・押印などができるようになります。

宅建士証の有効期限は“交付から5年間”で、5年おきに更新が必要になるため、忘れず手続きを行ってください!
ここまでが、宅建士試験合格から宅建士証を受け取るまでの流れです。
宅建士試験合格後の登録に必要な書類と費用
宅建士証の登録・交付申請の際には、さまざまな書類が必要です。とくに登録申請には用意すべき書類が多いので、早めに用意しておきましょう。
必要書類
まずは宅建士証の登録申請に必要な書類と取得場所を見てみましょう。
書類 | 取得場所・備考 |
---|---|
宅地建物取引士資格登録申請 | 登録する都道府県のウェブサイト |
誓約書 | |
登記されていないことの証明書 | 法務局(本局) |
身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 |
住民票(マイナンバー記載なし) | 住所地の市区町村役場、またはコンビニ |
合格証書 | 原本+コピーが必要 |
顔写真1枚 | 申請前6か月以内に撮影した無帽、正面、無背景の縦3cm、横2.4cmのカラー写真 |
登録資格を証する書面 | 実務経験証明書、登録実務講習修了証など |
法定代理人の許可書と戸籍謄本 | 法定代理人の許可書と戸籍謄本 |
※未成年かつ未婚の方は、法定代理人の許可書と戸籍謄本も必要
宅建士証の登録申請に必要な「身分証明書」は、本籍地の市区町村役場で発行されます。運転免許証やマイナンバーカードでの代用はできない点に注意しましょう。
また、役場や法務局で取得する書類の有効期限は3か月以内となります。続いて、交付申請時に必要な書類を見てみましょう。
書類 | 取得場所・備考 |
---|---|
宅地建物取引士証交付申請書 | 登録する都道府県のウェブサイト |
顔写真3枚 | 申請前6か月以内に撮影した無帽、正面、無背景の縦3cm、横2.4cmのカラー写真 |
宅地建物取引士資格登録通知書 | 宅建士証資格の登録完了後に送付される |
本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなど |
宅建士証を郵送で受け取る方は、上記に加えて460円分の切手を貼り付けた送付用封筒も必要です。
登録費用と書類取得費用
登録費用と書類取得費用も確認しておきましょう。
書類 | 書類取得費用 |
---|---|
宅建士資格登録手数料 | 37,000円 |
各種証明書(※) | 1通300円前後 |
住民票(※) | 1通300円前後(コンビニは1通200円前後) |
宅建士証交付申請手数料 | 4,500円 |
(※)費用は自治体によって異なる
事前に支払い方法を確認しておきましょう
登録手数料と交付申請手数料は、オンライン申請ならばクレジットカードやペイジーなどの電子決済が可能ですが、窓口申請の場合はキャッシュレスに対応していない可能性があります。窓口申請の方は、事前に支払い方法を確認しておきましょう。
宅建士試験合格後の選択肢
宅建士証があれば、宅建士として独占業務ができるようになります。もし仕事に活かすのなら、どのような選択肢があるのでしょうか。
不動産会社で従事する
1つ目が、不動産会社での従事です。
宅建業を営む不動産会社で宅建士として働き、契約の際に顧客に対して重要事項説明書の説明や記名・押印などを行います。
宅建士資格は就職活動時に有利になるだけではなく、社内でも重宝され、資格手当による年収アップも期待できます。名刺にも「宅地建物取引士」と記載できるので、取引先との交流や長期的なキャリアを築く上でも役立つでしょう。
不動産会社を起業する
2つ目が、不動産会社の起業です。
宅建士証があれば、宅地建物取引業免許を取得して、売買仲介業や賃貸仲介業のような宅建業を営む不動産会社を立ち上げることができます。
フランチャイズ契約も視野に入れよう!
フランチャイズ契約をすれば、フランチャイザーから経営ノウハウの提供やサポートなどを受けられるので、未経験の方でも起業に挑戦できるでしょう。最近では、未経験からフランチャイズ加盟店として不動産会社を起業する方も増えています。
せっかく宅建士証を取得したのなら、起業も視野に入れると良いでしょう。
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宅建士試験は合格したら終わりではなく宅地建物取引士証を受け取ってはじめて「宅地建物取引士」と名乗れます。そのためには、登録申請や交付申請などの手続きが必要です。
とくに登録申請時の必要書類は取得に時間がかかるものが多いので、できるだけ早く準備を始めましょう。また実務経験が2年未満の方は、合格がわかった時点で登録実務講習を予約しておくことをおすすめします。

宅建士は独占業務ができる貴重な資格です。ぜひその資格を活かせる、不動産会社での従事や起業を検討してみてください。
Point!
SUMiTAS(スミタス)フランチャイズでは、不動産業界の経験がない方でも安心して不動産会社を起業できるように、経営ノウハウやシステムの提供、研修会の開催など、経営にまつわる最大限の支援をいたします。
説明会やフェアへの出展も定期的に行っておりますので、宅建士試験に合格した方は、ぜひご相談ください。