2025.04.09
不動産業での新規事業 | 業態の選び方と起業のポイント解説

著者情報

我妻 貴之(加盟開発課 課長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
不動産業は売買、仲介、管理、賃貸と多様な業態があり、それぞれ特徴が異なります。
本記事では、不動産業の新規事業を検討している方でも始めやすい業態と、それを選ぶポイント、起業方法について詳しく解説します。不動産業界への参入をお考えの方は必見です。
この記事の要約
- 不動産業の新規事業には「売買」「仲介」「管理」「賃貸」の4業態がある
- 起業時は業態の特徴、収益性、差別化戦略を考慮すべき
- 独立起業かフランチャイズ加盟を選び、経験や資金状況に応じて決めるのが重要
不動産業での新規事業におすすめの業態
不動産業の中で起業・新規事業立ち上げをしやすいのは、以下の4つの業態です。
- 不動産売買事業
- 不動産仲介事業
- 不動産管理事業
- 不動産賃貸事業
まずは、それぞれの業務内容や特徴を見ていきましょう。
不動産売買事業
「不動産売買事業」は文字通り、不動産を仕入れて顧客に販売する事業です。
新築物件の販売のほか、中古物件を買い取ってリフォームなどで付加価値を高めてから、買取再販物件として売り出すこともあります。仕入れと売却がメインとなるため、個人でも比較的起業しやすい業態です。
しかし、物件を仕入れたりリフォームをしたりするための資金が必要になるため、定期的な資金調達をしなくてはなりません。

事業にかかわる資金は金融機関で融資を受けるのが一般的ですが、業界未経験者の審査は厳しくなる傾向があるため、事業を始める前に窓口で相談したほうが良いでしょう。
不動産仲介事業
「不動産仲介事業」は、不動産を“売りたい人と買いたい人”または“貸したい人と借りたい人”の間に入り、引き渡しまでサポートする事業です。売買事業のように物件の在庫を抱えることがなく物件調達資金も不要なため、不動産業の中でも起業や新規事業立ち上げがしやすい業態と言えます。
ただしどちらも宅建業にあたるため、新規事業として始める際には宅地建物取引士(宅建士)資格と宅地建物取引業(宅建業)の免許が必要です。
不動産管理事業
「不動産管理事業」は文字通り、不動産所有者に代わって不動産を管理や運営を行う事業です。賃料の回収や滞納者への督促、トラブル・クレーム対応、修繕計画などの管理全般を担う対価として、物件所有者から管理委託料を受け取ります。
また宅建業免許があれば、管理と併せて入居者を募集する客付け業務も行い、仲介手数料を得ることも可能です。管理事業のみならば資格は不要ですが、管理戸数が200戸を超える場合は賃貸住宅管理業の登録が必要になります。
「不動産管理業」の関連記事
不動産賃貸事業
「不動産賃貸事業」は、自分が所有する土地や建物を貸し出して家賃収入を得る、いわゆる“大家さん”です。所有物件さえあれば事業を始められるため、最も新規参入のしやすい事業と言えます。
しかし売買事業と同様に物件調達の資金が必要になるため、所有物件を増やしていくためには多額の資金が必要です。さらに管理会社に客付けや管理を任せる場合は、それぞれ委託料もかかります。
収入を増やすためには、客付けから管理までを全て自分で行うなど、業態の組み合わせも検討したほうが良いでしょう。
不動産業での新規事業を考えたときに確認すべきポイント
前章では事業ごとの特徴をお伝えしましたが、新規事業として始めるときにはどのような部分から判断すれば良いのでしょうか。ポイントを3つ説明します。
業態の特徴
1つ目のポイントが、業態の特徴です。
前章で説明した業務内容などから、“自分にできそうな業務であるか”を考えてみてください。これまで営業経験がある方や人と話すことが好きな方などは、仲介事業や管理事業のような人と関わる事業が向いているでしょう。

一方で、不動産や市場動向には関心があるものの、人と関わるのは苦手という方には、賃貸事業や売買事業のほうが向いているかもしれません。
業態を決めるときには、自分の得意・不得意なことから選ぶのがポイントです。
収益性
続いて2つ目のポイントが、収益性です。
事業を成り立たせるには関心の有無や得意不得意も重要ですが、収益性が欠かせません。特に不動産業は前章で説明したように、事業ごとに初期費用、収入源、1件あたりの売上は異なります。
1件当たりの売上が大きい売買や売買仲介は目指せる収益は高くなりますが、その分契約が難しく、在庫を抱えるリスクや売上が0になるリスクも抱えています。

一方で管理や賃貸事業は、スモールビジネスから始められるものの、事業をどんどん拡大していかなければ、売上は増えません。
自分が調達できる資金や目指す収益、避けたいリスクなどからも、どの業態が適しているのかを考えてみてください。
不動産業界の収益構造について学びたい方はこちらのeBookがおすすめです(ダウンロード無料)。
他社との差別化と戦略
そして3つ目のポイントが、他社との差別化と戦略です。
不動産業界は比較的新規参入しやすく、競争率の高い業界です。これから新規事業として不動産会社や管理会社を立ち上げて、長期的に生き残っていくためには、他社との差別化と戦略が欠かせません。
全く新しい事業にチャレンジできるのが起業の魅力ではありますが、事業として成り立たせていくことを優先するのなら、資格やこれまでの経験などを活かし、競合他社に勝てる道筋のある業態を選んだほうが良いでしょう。
不動産業での新規事業を始める方法
不動産業を始めるときには、独立店舗として起業する方法と、フランチャイズ加盟店として起業する方法があります。
独立店舗として起業する
1つ目が、独立店舗としての起業です。
独立店舗としての個人起業であれば、屋号と経営方針など経営にかかわる全てを自分で決められます。また、Web、SNS、チラシなどを使って広告活動をしたり、キャンペーンを実施したりするなど、さまざまな営業方法に挑戦できる点もメリットです。
色々なアイデアを次々と思いつく方や、方針に縛られたくないと考える方は、独立店舗のほうが起業のメリットが活きるでしょう。
フランチャイズ加盟店として起業する
2つ目が、フランチャイズ加盟店としての起業です。
売買事業、仲介事業、管理事業の3つはフランチャイザーの選択肢が多く、加盟店になれば、信頼性の高い大手不動産会社の看板名を使って起業することができます。
フランチャイズ加盟店になるメリットは、ブランド力による集客しやすさと、経営ノウハウの提供が受けられることです。経営にかかわるさまざまなサポートが受けられるので、業界未経験の方でも安心して起業に挑戦できます。
しかしフランチャイズは、加盟金や月々のロイヤリティ(料金)がかかり、経営方法や出店場所の制限が厳しい点がデメリットです。
メリットとデメリットを比較したうえで、慎重に検討しなくてはなりません。
「フランチャイズ」の関連記事
不動産業での開業は業態選びが重要!業務内容や収益性などから検討を
本記事でお伝えしてきたように、不動産業は「売買」「仲介」「管理」「賃貸」の4つに分かれており、それぞれ業務内容や目指せる売上が異なります。
これから不動産業で新規事業を立ち上げるのなら、それぞれの市場や収益構造、競合他社と比べた自社の強みを知ったうえで、慎重に検討しなくてはなりません。

業界未経験の方は、フランチャイズ加盟店として経営にかかわるサポートを受けながら起業するのもひとつの方法です。
Point!
SUMiTAS(スミタス)フランチャイズでは、加盟金150万円、ロイヤリティ月額5万円で、開業準備はもちろん、経営にかかわる最大限の支援をいたします。不動産事業に新規参入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。