2025.08.20
宅建士の年収はどのくらい?年収アップと資格取得のポイントも合わせて解説

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我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
資格の取得は、スキルアップだけではなく年収アップにもつながるので、転職や起業を考えて資格取得を考える方も少なくありません。では宅地建物取引士(以下、宅建士)資格を取得したら、年収はどのくらい上がるのでしょうか。

本記事では宅建士の平均年収や資格手当、年収を上げる方法などをご紹介します。宅建士資格の取得をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要約
- 宅建士の平均年収は約400〜500万円
- 資格手当や歩合制、独立開業で年収増が可能
- 資格取得には計画と明確なキャリア設計が重要
宅建士の平均年収と資格手当
さっそくこの記事の本題である、宅建士の平均年収と資格手当についてお伝えします。
宅建士の平均年収は400~500万円

宅建士の活躍の場となるのは、主に不動産会社です。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、不動産業の給与所得者の平均年収は約414万円でした。
しかし統計には宅建士資格を持たない人も含まれているため、資格手当が支給されることが多い宅建士の年収は、平均年収よりも高くなると予想されます。

就業地域や企業規模、年齢、歩合(成果)報酬の割合によっても変わってきますが、宅建士の年収は400〜500万円ほどが平均値と考えておくと良いでしょう。
参考:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
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宅建士の資格手当は月2~3万円が相場

宅建士資格は宅建業において独占業務が行えるので、資格保有者には資格手当を支給する不動産会社がほとんどです。支給額は月2〜3万円ほどが相場ですが、企業によっては5万円ほど支給されることもあります。
これを年収に換算すると24〜36万円、多ければ60万円も資格取得によって年収が増える計算になります。勤続年数による昇給が数千円〜数万円が相場であることを考えると、宅建士の資格取得がいかに年収アップに効果的なのかがわかります。
宅建士資格の取得が年収アップにつながる理由
なぜ宅建士資格の取得が年収アップにつながるのか、理由を3つお伝えします。
資格手当を出す企業が多いから
前述のように、不動産会社の多くは宅建士に資格手当を支給していますが、金融業界や建設業界、保険業界などでも資格手当を支給している企業がほとんどです。
したがって宅建士資格を活かせる業界であれば、年収アップが望めるでしょう。
資格手当が支給される理由としては、
- 宅建の資格者でなければ行えない業務があること
- 営業所に勤める従業員数に対して、一定割合で専任の宅地建物取引士の設置が義務付けられていること
- 有資格者として顧客からの信頼を得やすいこと
などが挙げられます。
とくに売買仲介業や賃貸仲介業のような宅建業を営む不動産会社では、営業所に勤める従業員の5人に1人以上の割合で専任の宅建士が必要です。仮に10人の営業所なら、最低でも2人以上は宅建士資格を保持していなければなりません。

宅建の有資格者という点が企業にとってプラスに働くため、資格手当が支給されているのです。
顧客との信頼関係を築きやすいから
宅地建物取引士は、役職と並べて名刺に記載できる資格のひとつです。
顧客に名刺を渡すときや取引先との名刺交換の際に有資格者であることをアピールできるので、信頼関係を築きやすくなるでしょう。
とくに不動産業界では顧客と信頼関係を構築することが契約につながるため、“宅建士資格を保有している”という事実が営業の武器になります。また宅建業を営む不動産会社では契約数に応じて報酬が増える歩合制(成果報酬型)を取り入れている会社が多いので、顧客からの信頼が年収アップにも影響するのです。
不動産業界以外でも働けるから
宅建士といえば不動産業界のイメージがありますが、先ほど挙げたように、金融業界、建設業界、保険業界のような“不動産”や“資産”を扱う業界・仕事でも重宝されます。
業界や企業によって目指せる収入も変わるので、不動産業界だけに絞らずより良い待遇の就職(転職)先を探せば、年収アップを狙えるでしょう。

このように業界の選択肢が多いのも、宅建士ならではのメリット・人気の資格となっている理由です。
宅建士資格の取得でさらに年収アップを目指す方法
宅建士資格を取得しておけば資格手当によって24〜36万円ほどの年収アップが期待できますが、努力次第でさらに年収を上げることも可能です。具体的な方法を3つ見ていきましょう。
歩合制の不動産会社で営業成績を上げる
宅建業を営む不動産会社は歩合制を取り入れている会社がほとんどなので、契約数に応じて固定給に“プラスα”の形で成果報酬が別途加算されます。そのため契約数を増やしていけば、その数に比例して年収も増えていきます。
しかし基本給がある場合の歩合割合は10%前後が一般的なので、年収を一気に増やそうと思ったら、契約数も大きく増やさなくてはなりません。
完全歩合制(フルコミッション)
「効率良く成果報酬を増やして年収を上げたい」と考える方は、基本給なしの完全歩合制(フルコミッション)を選択するのもひとつです。歩合割合が50〜60%と高いので、契約数が数件増えるだけでも大きく年収が上がるでしょう。ただし完全歩合制には固定給がないため、契約数が0件の月は収入も0円になるリスクがあります。
ダブルライセンスを取得する
資格手当が支給されるのは、宅建士資格だけではありません。ダブルライセンスを取得すれば、支給額の増加によってさらに年収も上がるでしょう。
不動産業界で資格手当が支給されることが多いのは、主に次のような資格です。
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- マンション管理士
- ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)
- 管理業務主任者
- 賃貸不動産経営管理士
- 2級建築士
手当額が大きい資格を取得すればその分年収も増えるので、自分が就職(転職)する業界で有利な資格を取得すると良いでしょう。資格取得のためのスクール受講費や試験費用が支給される企業もあるので、事前に調査しておくのがおすすめです。
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不動産業で独立開業する
宅建士資格があれば、自らが専任の宅建士となり、宅建業を営む不動産会社を独立開業することができます。開業後は経費を差し引いた売上が利益になるので、完全歩合制よりも高年収を狙えるでしょう。
実際に公益財団法人不動産流通推進センターが発表した「2024不動産業統計集(3月期改訂)」によると、令和4年度における資本金1,000万円未満の不動産会社の就業人数は55万5,718人、売上高は8兆4,745億4,200万円でした。
これを1人分に換算すると約1,500万円になり、経費を加味しても800〜1,000万円ほどは手元に残る計算です。あくまで平均値ではありますが、自分で会社を立ち上げることで会社員よりも年収を大きく増やせる可能性があります。

経営知識が不安な方や業界未経験の方も、フランチャイズ加盟店としての開業ならば、経営ノウハウの提供やさまざまなサポートを受けながら、安心して独立開業できるでしょう。
参考:公益財団法人不動産流通推進センター「2024不動産業統計集(3月期改訂)」
宅建士資格を取得するときのポイント
ここまでの説明で、宅建士の資格取得に前向きになった方も多いでしょう。最後に、資格取得のポイントをお伝えします。
資格取得スケジュールを考えておく
宅建士試験は、毎年10月の第3日曜日が試験日になっているため、年に1度しか取得のチャンスがありません(2024年12月時点)。
さらに宅建士資格の勉強時間は300時間程度といわれているので、就職(転職)希望時期や試験日から逆算して、取得スケジュールを考えておくことが大切です。資格取得を目指した通信講座も多数あるので、自分のペースで学習を進めることも可能です。
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資格取得後のキャリアプランを考えておく
宅建士試験の合格率は例年10%台と、難易度が比較的高い試験です。勉強範囲もとても広いので、根気よく勉強を進めるためには、自身のモチベーションを高めることが重要です。
モチベーション維持が大事!
どの業界でどのような働き方がしたいのか、どのくらいの年収を目指すのかなど、資格取得後の方向性をしっかりと考えておきましょう。キャリアプランを明確にしておけばモチベーションが下がりづらいので、試験に向けて前向きに勉強を進められるはずです。
宅建士資格を取得して、年収アップを目指そう!
宅建士の年収は400〜500万円が平均ですが、契約の獲得やダブルライセンスの取得によって、さらなる年収アップが期待できます。
平均値を大きく上回る収入を狙いたい方は、完全歩合制の不動産会社への就職(転職)や、独立開業を検討すると良いでしょう。
Point!
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