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2025.12.18

フランチャイズ解約の注意点と対策!違約金や法的リスクへの心構え

フランチャイズ解約の注意点と対策!違約金や法的リスクへの心構え

著者情報

我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。

事業戦略の見直しや経営状況の変化などにより、フランチャイズ契約の解約を検討するケースは少なくありません。しかし、安易な解約は違約金の発生や法的トラブルを招き、大きな損失につながる危険性があります。

本記事では、フランチャイズ解約を検討する際に必ず押さえておくべき注意点と、具体的な対策、そして違約金や法的リスクへの心構えを解説します。

我妻 貴之

フランチャイズ解約を検討している方はもちろん、現在契約中の加盟店オーナー、これからフランチャイズ加盟を検討している方も、トラブルを未然に防ぐためにぜひ参考にしてください。

この記事の要約

  • フランチャイズ契約の解約には違約金や法的リスクが伴う
  • 加盟店がフランチャイズ契約を解約する主な理由
  • フランチャイズ契約の解約で失敗しないための対策

フランチャイズ契約の解約には違約金や法的リスクが伴う

フランチャイズ契約を解約する際には、違約金や法的リスクが発生する可能性があります。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

そもそもフランチャイズ契約とは

SUMiTASフランチャイズを例にフランチャイズの仕組みを説明した図解
フランチャイズ契約とは

フランチャイズ契約とは、加盟店(フランチャイジー)が本部(フランチャイザー)のブランドやビジネスモデルを利用する権利を得る代わりに、対価を支払って事業を運営する契約形態です。

加盟店と本部双方に利益をもたらすことを目的とした契約ですが、事業環境の変化や経営戦略の見直しなどにより、契約期間満了前に解約が必要となることもあります。

途中解約は違約金が発生する可能性が高い

フランチャイズ契約を契約期間満了前に解約する場合、多くのケースで違約金が発生します。これは、加盟店の突然の解約が顧客の混乱を招き、本部が築き上げてきたブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があるためです。

また、加盟店への研修や各種サポートには、本部による相応の先行投資が伴います。そのため、投資回収の観点からも違約金が設定されているのが一般的です。

契約締結前に契約内容を十分に確認し、事業計画をしっかりと立てておくことが重要です。契約期間中は、本部と良好な関係を築き、共に事業の成長を目指すことが、結果として途中解約のリスク回避につながります。

フランチャイズ契約の解約方法は主に4つ

フランチャイズ契約を解約する方法は、契約内容や状況に応じて一般的に以下4つの方法があります。

  1. 契約期間満了による解約
  2. 中途解約(途中解約)
  3. 合意解約
  4. 契約解除

それぞれについて説明します。

1.契約期間満了による解約

契約期間が満了した際に、更新手続きを行わずに契約を終了する方法です。この方法では違約金は発生しませんが、自動更新条項が含まれている契約には注意が必要です。

【条文例】

第●条(有効期間)

本契約は、令和●年●月●日から●年間有効である。なお、期間満了の●か月前までに、いずれの当事者からも特段の意思表示がない場合、同一条件でさらに●年間更新されるものとし、以後も同様とする。

自動更新条項とは、契約期間の満了前に当事者双方から更新拒絶の意思表示がない場合、自動的に契約が更新されるという規定です。

フランチャイズ契約に自動更新条項が含まれている場合、定められた期間内に更新拒絶の意思表示を行う必要があります。これを怠ると契約が自動的に更新され、結果として途中解約になってしまう可能性があります。

2.中途解約(途中解約)

加盟店が契約期間中に自らの意思で契約を終了する方法です。この権利は中途解約権と呼ばれ、契約書に中途解約条項が明記されている場合にのみ行使できます。

【条文例】

第●条(中途解約)

甲又は乙は、相手方に対して●か月前までに書面で予告することにより、本契約を中途解約できるものとする。ただし、本契約締結日から●か月が経過するまでは、本項に基づく中途解約はできないものとする。

中途解約が行われた場合、当該中途解約を行った当事者は、相手方に対して違約金として●万円を支払うものとする。なお、振込手数料等の当該支払いに係る費用は、当該中途解約を行った当事者の負担とする。

中途解約権を行使できるタイミングや条件は契約書に明記されているため、解約を希望する際は、その意思を数か月前までに書面で通知する必要があります。また、多くの場合、中途解約時には違約金が発生します。

高額な違約金は加盟店にとって大きな負担となるため、フランチャイズ契約を締結する前に、これらの詳細を十分に確認することが重要です。

3.合意解約

合意解約とは、加盟店と本部が双方の合意のもとで契約を解約する方法です。この方法は、双方が納得して進められるため、トラブルが発生しにくいというメリットがあります。ただし、双方が合意できる条件を見つける必要があるため、交渉が長引く可能性がある点には注意が必要です。

一般的な手順として、まず加盟店と本部が協議を行い、解約条件について合意を目指します。この際、解約日、違約金の有無、在庫の引き渡し方法や清算方法など、条件を具体的に話し合います。合意した内容は、必ず書面に残し、双方が署名・捺印することで法的効力を持たせます。

我妻 貴之

合意内容を書面化して記録に残すことで、「言った・言わなかった」という事後のトラブルを防ぎ、契約終了後も良好な関係を維持できます。

4.契約解除

契約解除とは、相手方に重大な契約違反や法令違反があった場合に、一方的に契約を終了させる方法です。この手続きは、通常、契約書に定められた「契約解除条項」に基づいて進められます。

【条文例】

第●条(解除)

甲又は乙は、相手方が本契約に違反したときは、書面により当該違反状態を是正するよう催告するものとし、当該催告後相当期間が経過してもなお是正されない場合には、本契約の全部又は一部を解除することができるものとする。

契約解除条項の内容は契約書ごとに異なりますが、フランチャイズ契約における主な解除理由としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 営業許可の取消しや重大な法令違反が発覚した場合
  • 加盟店が本部の指示に再三従わない場合
  • 無断で競合する事業を開始した場合

契約解除により、双方の権利義務関係は消滅しますが、不当な契約解除は損害賠償請求の対象となる可能性があります。そのため、解除の正当性を証明するための証拠収集が不可欠です。

加盟店がフランチャイズ契約を解約する主な理由

ここでは、加盟店がフランチャイズ契約を解約する主な理由を紹介します。

売上の減少や競争の激化による経営上の困難

加盟店が契約を解約する最も一般的な理由は、売上減少や競争激化によって経営が困難になるためです。特に、近隣エリアにおける競合店の増加や市場環境の変化が大きく影響し、当初期待していた利益を確保できなくなることがあります。その結果、事業継続のメリットを見いだせず、解約に至るケースが多く見られます。

加盟店オーナーのライフスタイルの変化

加盟店オーナーの健康状態悪化や家庭の事情による転居は、フランチャイズ契約を解約する理由の一つです。

こうした状況下で親族等へ事業を承継させる場合、多くは本部による承諾が必要となります。これは、本部が新たなオーナーの資質や能力を審査し、ブランドイメージや運営基準を維持するためです。また、そもそも契約上の地位の譲渡を禁止している場合もあります。

物件が見つからず開店に至らなかった

フランチャイズ契約締結後に物件探しを開始したものの、事業計画に合致する物件が見つからず、最終的に開店を断念せざるを得ないケースも見受けられます。

特に、店舗の立地が事業の成否を大きく左右するフランチャイズの場合、物件選定の遅れは致命傷になりかねません。希望エリア内での物件確保が難航したり、条件に合う物件が見つからなかったりすることで、最悪の場合、契約の継続を断念せざるを得なくなる可能性もあります。

高額なロイヤリティや不公平な契約条項への不満

契約内容に対する不満は、加盟店が解約を検討する大きな要因です。中でも、高額なロイヤリティや解約時の過大な違約金は、加盟店に重い経済的負担を強いるため、オーナーの不満が募りやすい典型例と言えます。

加えて、契約更新時の不利益な条件変更や、本部からのサポート不足も、加盟店側の不満を増幅させ、最終的に解約決断の引き金となることがあります。

フランチャイズ契約の解約で失敗しないための対策

フランチャイズ契約の解約は、たとえ正当な理由があっても、違約金の発生や法的紛争に発展するリスクを伴います。これらのトラブルを回避するためには、契約締結時から適切な対策を講じることが不可欠です。

契約時に解約条件や違約金の規定を念入りに確認する

フランチャイズ契約書には、解約条件や違約金などが詳細に規定されています。契約締結前にこれらの条項を精査し、不明点がある場合は必ず専門家に相談し、リーガルチェックを受けましょう。

確認すべき主なポイントは以下の通りです。

チェックリスト:

  • どのような場合に契約が解除されるのか、またその手続きはどのようになっているのか。
  • 加盟店が契約期間途中で解約を申し出た場合、解約金または損害賠償金の支払義務が生じるのか。
  • 支払義務が生じる場合、その金額はどのように算定されるのか(例:ロイヤリティの数ヵ月分など)。
  • 特に、加盟店が業績不振を理由に解約を申し出る場合にも、解約金の支払義務が生じるのか。
我妻 貴之

解約時のリスクを軽減するため、契約書の条項を明文化し、リスクを事前に把握しておきましょう!

解除理由を証明するための記録や証拠を残しておく

加盟店と本部の間で、契約違反や業績不振による契約解除の正当性を巡って争いになることがあります。このような場合、解除理由を証明するための文書、記録、証拠が不可欠です。

本部とのやり取りを記録した議事録、業績推移を示すデータ、契約書の写しなど、解除理由を裏付ける可能性のある資料は日常的に整理・保管しておきましょう。

解約後も継続して発生する法的リスクについて把握しておく

フランチャイズ契約の終了後も、以下のようなリスクが残ることを理解しておきましょう。

競業避止義務違反

競業避止義務違反とは、契約終了後に本部と競合する事業を行わないよう義務付けられた「競業禁止条項」に違反する行為のことです。

この義務に違反すると、本部から損害賠償請求や事業の差し止めを求められるリスクがあります。競業禁止条項は、多くの場合契約終了後も一定期間適用されますので、内容を十分に把握しておきましょう。

商標権侵害

契約終了後も本部の商標(ブランドロゴや名前)を無断で使用すると、商標権侵害とみなされ、法的措置を受ける可能性があります。

商標は法律で厳しく保護されており、契約終了後の使用は許されません。商標を継続して使用することは、違法行為として高額な損害賠償請求の対象となることがあります。

我妻 貴之

契約終了後は速やかに商標の使用を中止し、ブランド関連のアイテム(看板、商品、広告物など)を撤去しましょう。

不正競争防止法違反

不正競争防止法違反とは、契約終了後に本部の営業秘密やノウハウを無断で利用して事業を行う行為のことです。これに該当する行為は、本部から損害賠償請求を受けるだけでなく、事業そのものが差し止められるリスクもあります。

我妻 貴之

契約終了後は、本部から得たノウハウを適切に取り扱い、第三者に漏洩しないように注意しましょう。

フランチャイズ契約の前に解約のリスクを知っておこう

フランチャイズ契約においては、契約期間中に経営状況の変化や予期せぬ事態が生じ、やむなく解約を選択せざるを得ない場合もあります。

本来、フランチャイズ契約は、本部と加盟店の双方が利益を追求するための仕組みです。しかしながら、解約に至るケースでは、様々な法的リスクや経済的負担が発生するのもまた事実です。

我妻 貴之

こうしたリスクを最小限に抑え、円滑な解約を実現するためには、契約締結前に契約内容を入念に確認し、疑問点は早期に解消しておくことが重要です。

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