2024.10.23
不動産業で起業した人の年収はどのくらい?知っておきたい注意点もあわせて解説
著者情報
我妻 貴之(加盟開発課 課長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
不動産投資ブームや、未経験者でも不動産業に挑戦できるフランチャイズ(FC)の普及などから、不動産業での起業を考える方が増えています。
しかし不動産業での起業は、どのくらいの年収を望めるのでしょうか。
そこで本記事では不動産業で起業した人の平均年収や主な収入源など、起業前に知っておきたい収入事情を説明します。不動産業での起業をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要約
- 不動産業で起業した人の平均年収は800〜1,000万円が目安である。
- 主な収入源は売買仲介手数料、賃貸仲介手数料、物件管理手数料などがある。
- 収入安定には時間がかかり、特にフランチャイズ加盟が集客に有利である。
不動産業で起業した人の年収目安
自営業者の年収はさまざまな条件により左右されるので、残念ながら「起業すれば年収○円になる」と言い切ることはできません。
そこで統計データから、年収の目安を考えてみましょう。
公益財団法人不動産流通推進センターが発表した「2024不動産業統計集(3月期改訂)」によると、令和4年度における資本金1,000万円未満の不動産会社の就業人数は55万5,718人、売上高は8兆4,745億4,200万円でした。
これを1人分に換算すると、約1,524万円です。
ただし自営業では“売上=年収”とはならないため、ここから経費が差し引かれた額が年収として手元に入ります。経費は会社ごとに異なりますが、500〜700万円と仮定すると、手元に年収として入るのは800〜1,000万円になります。
では、不動産会社に勤める会社員の年収はどのくらいなのでしょうか。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、不動産業の給与所得者の平均年収は約414万円と発表されています。
平均値だけで考えると、起業したほうが会社員よりも高い年収を期待できそうです。
不動産業で起業した後の主な収入源
資本金1億円以下の不動産会社における1人分の平均売上は約1,524万円ですが、どのような収入源があるのでしょうか。業種別に説明します。
不動産売買の仲介手数料
不動産を売りたい人と買いたい人を仲介するのが、不動産の売買仲介業です。主な収入源は、売買契約を締結したときに受け取る「仲介手数料」になります。
仲介手数料に下限はありませんが、売買価格に応じた上限は決まっています。
売買価格 | 売買価格に対する仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 原則、5%以内+消費税 |
200万円~400万円以下 | 原則、4%+2万円以内+消費税 |
400万円以上 | 原則、3%+6万円以内+消費税 |
仲介手数料は仲介した売主または買主から受け取るのが一般的ですが、どちらも自社の顧客であれば、双方から受け取ることができます。
低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)について
2024年7月1日より、低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、それまでの特例から見直しが入り、当該媒介に要する費用を勘案して、上限を超えて報酬を受領できるようになりました。
但し、媒介契約の締結に際しあらかじめ、上記の上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることが原則となります。
参考:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf
高額取引となる不動産売買の成約を取るのは容易ではありませんが、1件あたりの報酬が大きいので、成約数が1件でも増えれば売上も跳ね上がるのが特徴です。
不動産の売却益
物件を仕入れ、自らが売主となって不動産売買を行う不動産会社では、仲介のほか不動産の売却益も収入源になります。売主から買い取った不動産を第三者に売却し、買取価格と売却価格の差額が売上になる仕組みです。
最近では一戸建て住宅やマンションを買い取ってリフォームやリノベーションしてから、買取再販物件として売り出す会社も増えています。
売却益は物件によっても異なりますが、1度の取引で数百万円〜数千万円が目安です。
買い手が見つかれば大きな収入源にはなるものの、不動産の管理と維持には費用がかかり、なかなか買い手が見つからなければ、値下げによって損失が出るリスクもあります。
また、売主となって不動産を取引するときには、仲介手数料も受け取れません。
賃貸物件の仲介手数料
物件を貸したいオーナーと借りたい人を仲介する賃貸仲介業務では、賃貸借契約が完了したときに仲介手数料を受け取ります。賃貸契約における仲介手数料は、オーナーと入居者で合わせて“家賃の1か月分+消費税”が上限です。
割合に関しては不動産会社が自由に決められますが、オーナーまたは入居者のいずれか一方から1か月分の仲介手数料を受け取る場合は、必ず当事者の書面による同意が必要です。
賃貸仲介の報酬は売買ほど大きくはありませんが、契約は取りやすいため、数をこなせば売上がどんどん上がっていくのが特徴です。
ただし仕事量に対して報酬はあまり高くないため、売上によっては賃貸管理など他の業務との兼業が必要になるでしょう。
賃貸物件の管理手数料
不動産オーナーから託された賃貸物件の管理維持を行うことで得られるのが、管理手数料です。
管理手数料は賃料の3〜7%が目安なので、家賃5万円の物件で手数料が仮に5%ならば1室あたり2,500円の計算になります。
1室あたりの単価は高くありませんが、管理はアパート単位で依頼されることが多いので、室数が多い物件ほど受け取る管理手数料も大きくなるのが特徴です。
先ほどの例で考えると、1室あたりは2,500円でも20室のアパートなら“2,500円×20室=50,000円”となります。
毎月決まった手数料を受け取れる管理業務は、売上が安定しやすい点がメリットですが、一方で売上を増やすためには件数が必要になるというデメリットもあります。
目安として400~500室くらいの管理戸数を超えると、不動産業として安定的な収入が得られ、さらに事業の発展も見込めるとされています。
目安となる戸数を見てわかるように、複数のアパートを管理しなければ、管理手数料だけでの経営は難しいのが現実です。
不動産業の年収で知っておきたい注意点
ここまで、不動産業で起業したときの平均年収や収入源について説明してきましたが、年収に関して知っておきたい注意点もあります。
売上=年収になるわけではない
不動産業にかかわらず自営業になると、売上がそのまま年収になるわけではありません。売上から必要経費を差し引いた額が、年収になります。
必要経費には事務所の賃料や光熱費、広告宣伝費、融資の返済金、雑費などがあり、フランチャイズ加盟店として起業する場合は、月々のロイヤリティも必要です。
ただし経費の割合は営業形態によって異なるので、自分が希望する起業方法での予想経費と予想売上から、年収をシミュレーションしてみると良いでしょう。
収入が安定するまでに時間がかかることが多い
不動産業を起業したときの年収は800〜1,000万円が平均値だとお伝えしましたが、起業してすぐに売上を安定させることは容易ではありません。
起業してしばらくは、会社員時代よりも年収が低くなってしまう可能性もあります。すぐに高収入を期待せず、コツコツと実績を積み上げていくことが重要です。
起業当初から収入の安定を望む方におすすめなのは、フランチャイズ加盟で大手不動産会社のブランド名を使う方法です。加盟金や月々のロイヤリティはかかりますが、ブランド力と広告力で独立店舗としての起業よりも集客がしやすくなるでしょう。
以下では実際にフランチャイズに加盟された方のリアルなインタビュー記事より一部抜粋しています。インタビュー記事では看板やブランドの重要性についてお話いただいています。
想像以上のSUMiTASのブランディング力を感じています。看板だけで「不動産売買のSUMiTAS」とお客様に認識いただけている様で、自然とお問い合わせが集まってきています。(一部抜粋)
引用元:https://sumitas-fc.com/case/95/
営業形態によって目指せる売上高に差がある
前章でお伝えしたように、営業形態によって収入源が異なれば、目指せる売上も異なります。
1件あたりの取引額が大きい売買仲介や自社売買ならば高収入を目指せますが、成約が全く取れなければ売上は0円です。賃貸仲介や管理と比べて、ハイリスクハイリターンの営業形態になります。
一方で、賃貸仲介や管理などは売買と比べて契約は取りやすいものの、1件あたりの売上額はあまり高くはありません。高収入を目指すためには件数をこなす必要があります。
不動産業での起業は、経営が軌道に乗れば高収入を目指せる!
不動産業で起業した人の平均売上は約1,524万円、必要経費を差し引いて年収として入るのは、800〜1,000万円ほどが目安です。平均値だけで考えると、経営が軌道に乗れば会社員よりも高い年収を目指せるでしょう。
しかし、不動産業は営業形態によって収入源や目指せる売上も異なるため、自分が理想とする収入や働き方などから慎重に考える必要があります。
高収入を目指したいのなら、1件あたりの取引額が大きい売買仲介での起業がおすすめです。ただし売買仲介は、集客が売上に大きく影響します。
そのため業界未経験の方にはフランチャイズ加盟店としての起業が高収入を見込めるだけでなく、安定収入への近道となる可能性が高いでしょう。
Point!
SUMiTASフランチャイズでは、加盟金100万円、ロイヤリティ月額5万円で、営業マニュアルや集客方法などの経営にかかわる最大限の支援をいたします。
事業計画などの相談も承っておりますので、不動産事業に新規参入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。