2025.01.08
不動産業で起業するなら管理会社と仲介会社のどちらがいい?メリットとデメリットは?
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我妻 貴之(加盟開発課 課長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
不動産業の起業を考える際、管理会社と仲介会社のどちらにするかは大きな分岐点です。同じ不動産業界でも、両者の業務内容は大きく異なり、必要な資格や許可も異なります。そのため、事業計画を立てる前に、まずはどちらの業態で起業するかをしっかりと検討することが重要です。
本記事では、管理会社と仲介会社の起業に必要な資格や許可、メリットとデメリット、悩んだときの判断ポイントをお伝えします。
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本記事では、管理会社と仲介会社の起業に必要な資格や許可、メリットとデメリット、悩んだときの判断ポイントをお伝えします。
どちらの業態で起業するかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要約
- 管理会社は安定した収入が得やすいが、トラブル対応が多くハードルが高い
- 仲介会社は高収入を狙いやすいが、認知度の向上と競争が激しく安定収入に時間がかかる
- 宅建士資格を持つなら、仲介会社からの起業が高収入と成長のチャンスが広がる
管理会社と仲介会社の起業に必要な許可と資格
起業時には個人事業主として開業届を出すか、法人として登記申請を行いますが、業態によっては以下のような資格の取得や登録、許可が必要です。
管理会社 (管理戸数が200戸を超える場合) | 仲介会社 | |
---|---|---|
必要な許可 | 賃貸住宅管理業 | 宅地建物取引業 |
必要な資格 | 不動産経営管理士または宅地建物取引士 | 宅地建物取引士 |
もう少し詳しく見ていきましょう。
管理会社の起業に必要な許可と資格
管理会社は、起業にあたって特別な資格は必要ありません。一般的な起業の手続きさえ行えば、すぐに管理会社として営業を始められます。
ただし自己所有物件以外の管理戸数が200戸を超える場合は、賃貸住宅管理業の登録を行うとともに、営業所ごとに業務管理者を1人以上は配置しなくてはなりません。
業務管理者になれるのは、次のような条件を満たす人です。
- 管理業務関する2年以上の実務経験+登録試験の合格者
- 管理業務関する2年以上の実務経験+宅建士+指定講習の修了者
参考:賃貸住宅管理業法ポータルサイト「業務管理者 について」
管理業務に関しては、実務経験を積まずともそれに代わる講習を修了すれば免除されますが、それ以外の資格や試験に関する条件は、必ず満たさなくてはなりません。
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管理戸数200戸をボーダーラインに、事業のハードルが一気に高くなることに注意が必要です。
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戸数が増えてきた段階で登録することもできますが、急に管理戸数が増えると登録が間に合わない可能性があります。管理戸数をどんどん増やしていく計画ならば、起業までに賃貸住宅管理業に登録しておいたほうが良いでしょう。
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また、必須資格ではありませんが、宅地建物取引士(宅建士)、賃貸不動産経営管理士、マンション管理士なども取得しておくと営業に役立ちます。
起業までに余力があれば、取得しておくと良いでしょう。
仲介会社の起業に必要な許可と資格
仲介会社を営むためには、宅地建物取引士の資格と、宅地建物取引業免許の取得が必要です。起業する時点で資格と免許が必要になるため、管理会社よりも起業のハードルがやや高くなります。
宅建士資格は年に1度実施される資格試験に合格すれば、登録後に宅地建物取引士証が交付されます。一方で宅地建物取引業免許の取得には審査があり、起業までに以下2つの要件を最低限満たしておかなければなりません。
- 専任の宅地建物取引士を設置していること
- 事務所の形態を整えていること
宅地建物取引業免許は申請時点で宅建士資格が必要になるため、無資格者はまず宅建士資格を取得し、そこから事務所探しを行うことになります。
どちらも時間がかかるため、仲介会社の起業にはかなりの準備期間を要するでしょう。
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さらに申請から免許取得までにも知事免許で約40日、大臣免許になると3〜4か月ほどかかります。宅建士資格の有無にもよりますが、仲介会社の起業にはさまざまな手続きが必要で、時間もかかることを踏まえて準備を始めなくてはなりません。
管理会社で起業するメリットとデメリット
複数の選択肢で悩んだときには、メリットとデメリットから比較するのが基本です。まずは、管理会社を起業するメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・安定した経営をしやすい・管理委託業以外の収入も得られる | ・トラブル対応が発生しやすい・選ばれるためのハードルが高い |
管理会社のメリット
物件の管理は1棟ベースで依頼されることが多く、総賃料の5〜10%ほどが管理委託料として支払われます。たとえば家賃が月10万円の物件を20戸管理するのなら、管理委託料の相場は5~10万円ほどです。
まとまった収入を得られるので、契約が増えていけば安定した経営を得られるでしょう。また、管理物件で設備の交換や修理、クリーニングなどが必要になったときには、所有者への紹介料として、業者から請求費用の一部を受け取れるケースもあります。
定期収入の得やすさが、管理会社を起業する大きなメリットです。
管理会社のデメリット
物件管理業務には、賃料の回収や督促、原状回復のほか、クレーム対応も含まれます。
騒音や共用部分の使い方をめぐった住人同士のトラブルだけではなく、近隣住民からのクレームにも対応しなくてはなりません。場合によっては大家と住人、住人と近隣住民とで板挟みになることもあるでしょう。
また、物件管理は1棟ごとの依頼が基本のため、大家側が会社選びに慎重になり、選ばれるためのハードルが高くなります。未経験かつ人脈もない状態からの起業だと、起業当初はなかなか契約が取れない可能性があります。
仲介会社で起業するメリットとデメリット
続いて、仲介会社で起業するメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・売買なら1件あたりの報酬額が大きい・フランチャイズ加盟店になれば業界未経験でも参入しやすい | ・収入が安定するまでに時間がかかる・競争率が高い |
仲介会社のメリット
仲介会社のメリットは、1件あたりの売上が高く、高収入を目指せることです。
賃貸ならば“賃料の1か月分”、売買ならば400万円以上の取引で最大“3%+6万円以内+消費税”の仲介手数料が得られるため、成約が1件増えるごとに数万円~数百万円単位で売上が増えていきます。
なお、売買における仲介手数料は、宅建業法の改正によって2024(令和6)年7月1日からは売買価格が800万円以下の場合、“最大30万円+消費税”を受けられるようになりました。
この改正により、中古市場は以前よりも有利になっています。
また、宅建業は賃貸・売買ともにフランチャイズを展開している会社が多く、加盟店になれば経営ノウハウの提供を受けることができます。
起業前だけではなく起業後もしっかりとサポートを受けられるため、業界未経験者でも安心して起業できるでしょう。
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仲介会社のデメリット
仲介会社は高収入を狙いやすいメリットの一方で、収入が安定するまでに時間がかかりやすいというデメリットがあります。とくに独立店舗として起業する場合は、不動産会社としての認知度を高めるところから始めることになるので、広告活動にも時間を要するでしょう。
さらに仲介会社は、競合他社が多いのもデメリットのひとつです。
新規開業者が増え続けるなかで生き残るためには、他社との差別化を図ると同時に、情報収集のアンテナを常に張っておかなければなりません。
管理会社と仲介会社で悩んだときの判断ポイント
管理会社と仲介会社のメリットとデメリットを比較しても決めかねるときには、以下のようなポイントを判断材料にしてみてください。
- 将来的なビジネスモデル
- 資格の有無
起業するときには“今どうなりたいのか”だけではなく、“将来的にどうなりたいのか”も考えておかなくてはなりません。スモールビジネスとして続けていきたいのか、それとも売上に応じて事業を拡大していきたいのかなど、数年先、数十年先の目標も考えてみてください。自分が理想とするビジネスモデルにより近づける業態を選ぶと良いでしょう。
また、資格の有無も判断ポイントのひとつになります。
宅建士資格があるのなら、まずは仲介会社での起業がおすすめです。事業が安定した段階で管理会社を立ち上げれば、客付けまで引き受けることでさらに売上を増やせるでしょう。
不動産業の起業は仲介会社からのスタートがおすすめ!
同じ不動産業のくくりでも、管理会社と仲介会社では業務内容が大きく異なります。
高収入を目指したい方や、宅建士資格を活かしたい方には仲介会社からの起業がおすすめです。業界未経験者でもフランチャイズ加盟店になれば、経営サポートを受けながら、安定した収入を得られるでしょう。
Point!
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