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2025.05.28

フランチャイズは個人事業主と法人どちらがいい?それぞれのメリットとデメリット

フランチャイズは個人事業主と法人どちらがいい?それぞれのメリットとデメリット

著者情報

我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。

フランチャイズへの加盟を考えたとき、「個人事業主」と「法人」のどちらで開業すべきか悩まれる方も多いはずです。「そもそも両者の違いがわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、個人事業主と法人の違いをメリットとデメリットを交えながら説明します。

我妻 貴之

経営形態は早い段階で決めておいたほうが事業計画も立てやすくなるので、ぜひ参考にしてください。

この記事の要約

  • 個人事業主は手続き簡単で低コスト、税負担軽減も可能だが信用度に課題がある
  • 法人は社会的信用や経費の幅広さで有利だが、設立費用や社会保険料負担が重い
  • 事業計画に応じて、税負担や手続きの煩雑さを比較し適切な選択をすべきである

フランチャイズにおける個人事業主と法人の4つの違い

まず「個人事業主」は、個人で事業を営む人を指します。

我妻 貴之

「自営業」と言えばイメージがしやすいかもしれません。

一方「法人」は、法律によって権利義務が認められた団体を指し、財産を保有したり法人名で契約を結んだりできるのが特徴です。「株式会社」や「合同会社」、「NPO法人」などのさまざまな種類があります。

以上の点を踏まえて、以下に違いを見ていきましょう。

1.開業手続き・資金

個人事業主と法人とでは、開業手続きの流れと資金が異なります。
個人事業主としての開業は、税務署に開業届を提出するだけで完了です。記載項目が少なく簡単に作成でき、提出にあたって費用もかかりません。

一方で法人設立の手続きは、決めるべき項目や手続きが多くあります。
登記手続きや印鑑登録なども必要になり、合同会社なら10万円〜、株式会社なら22万円〜の費用がかかります。さらに手続きを司法書士に依頼する場合は、報酬として別途10万円前後かかるでしょう。

2.税金の種類

個人事業主と法人とでは、納める税金の種類と税率も異なります。
まずは一覧で見てみましょう。

個人事業主法人
・所得税
・住民税
・個人事業税(一部の業種除く)
・消費税(課税事業者の場合)
・法人税
・法人住民税
・法人事業税
・地方法人特別税
・消費税

一覧を見ると個人事業主よりも法人のほうが、納める税金の種類が多くなっています。そのため「法人税のほうが高そう」だと感じるかもしれませんが、税率は事業所得(利益)によって変わるため、必ずしも法人税のほうが高いとは限りません。

個人が払う所得税率は、累進課税によって所得に応じて5〜45%まで7段階に分かれていますが、法人税率は15%と23.2%の2段階だからです。

所得金額900万円をボーダーラインに、法人税率よりも所得税率のほうが高くなります。

3.経費の範囲

個人事業主にも経費は認められていますが、法人と比べると“経費として認められるものの範囲”に大きな差があります。

たとえば法人ならば、事業主自身の給与や役員報酬、生命保険料、退職金の準備金などを経費として計上することが可能です。しかし個人事業主だとこれらを経費にできないので、自己負担しなくてはなりません。

4.社会的な信用度

フランチャイズの業種にもよりますが、一般的には個人事業主よりも法人のほうが社会的信用は得やすくなります。金融機関からの融資も、法人のほうが審査に通りやすい傾向があるのは事実です。

また、介護や看護、障がい者施設のように都道府県知事からの事業許可が必要な業種の開業は、法人しか認められていません。これらの業種はフランチャイズ加盟店としての開業であっても、法人の設立が必要です。

個人事業主としてフランチャイズ加盟するメリットとデメリット

前章では、個人事業主と法人の4つの違いを説明しました。ここからは、それぞれの違いも含めて、メリットとデメリットを比較していきましょう。

個人事業主のメリット

個人事業主としてフランチャイズ開業するメリットは、次のとおりです。

  • すぐに開業できる
  • 利益が少ない間は税負担が少なく済む
  • 事務作業の負担が少ない

すぐに開業できる

前述のように、個人事業主は開業届を提出するだけですぐに開業できます。すぐに開業手続きができるのは、個人事業主ならではのメリットです。

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フランチャイズに加盟したうえで開業することで、フランチャイザーの集客力や広告、ブランド力を活かすことができ、最初の売上発生までの期間も短縮しやすくなります。

利益が少ない間は税負担が少なく済む

所得税は所得金額によって税率が決まるので、事業所得が少ない間は税負担が少なく済むというメリットもあります。事業所得が48万円以下ならば非課税となり、確定申告も不要です。

しかし、フランチャイズの加盟店として開業する場合は、一定のロイヤリティが発生する点には注意しましょう。

事務作業の負担が少ない

個人事業主は法人よりも扱う書類が少ないため、会計ソフトなどを使って帳簿付けから確定申告までを自分で行えます。税理士への報酬がかからない点もメリットです。

個人事業主のデメリット

売上に応じた税率や事務作業でのメリットがある一方で、次のようなデメリットがあるのも事実です。

  • 法人よりも信用度が低い
  • 融資やテナントの審査が厳しくなる
  • 所得金額が一定額を超えると税負担が重くなる

法人よりも信用度が低い

個人事業主は登記手続きをしていないため、第三者は事業の実態を把握することができません。これが、社会的信用の得づらさにつながっています。

しかし、フランチャイズの加盟店となっていれば、大手企業のブランドや商標、看板を使用できるため、個人事業主であってもブランドイメージを構築しやすくなります。

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業種や業態によりますが、場合によってはフランチャイザーから法人化を求められるケースも考えられるため、加盟条件や契約条件を事前にしっかりと確認するようにしましょう。

融資やテナントの審査が厳しくなる

個人事業主は金融機関での融資やテナント物件を借りる際に、法人よりも審査が厳しくなる傾向があります。事業計画書の内容や職務経験によっても変わりますが、未経験の場合は厳しくなるでしょう。

フランチャイズに加盟することで、事業計画書や資金計画の作成アドバイスやサポートが得られるため、不安な方はフランチャイズへの加盟がおすすめです。

所得金額が一定額を超えると税負担が重くなる

個人事業主は事業所得が少ないうちは税負担を抑えられますが、900万円を超えると所得税率が23%から33%になり、一気に税負担が増えてしまいます。

我妻 貴之

所得金額が900万円を超える見込みがあるのなら、法人成りを検討したほうが良いでしょう。

法人としてフランチャイズ加盟するメリットとデメリット

続いて、法人としてフランチャイズ加盟するメリットとデメリットを説明します。

法人のメリット

まずはメリットを見てみましょう。

  • 社会的な信用を得やすい
  • 経費計上できるものが多い
  • 赤字の繰り越しができる
  • 一定の所得を超えたら所得税よりも税負担が軽い

社会的な信用を得やすい

法人は登記簿によって事業の実態がわかるので、社会的な信用を得やすい点がメリットです。融資やテナント物件の審査はもちろん、取引先や顧客のような外部からの信用も得やすくなるでしょう。

フランチャイズ加盟店としての開業であれば、フランチャイザーのブランドや商標、看板を使えるので、法人であるかどうかはそこまで着目されにくい場合もあります。

経費計上できるものが多い

法人は個人事業主よりも経費の範囲が広がります。
事業主自身の給与や生命保険料、退職金の準備金などを経費にできるので、所得金額を少なくして税負担を抑えられる点がメリットです。

役員報酬を増やしたり福利厚生費を充実させたりするなど、節税対策の幅も広くなります。もちろん、フランチャイズへの加盟により発生する加盟金やロイヤリティも、経費計上することが可能となります。

赤字の繰り越しができる

法人で赤字が出たときには赤字の繰り越しができますが、個人事業主が3年のところを法人は10年まで繰り越せる点がメリットです。赤字を繰り越せば、法人税が膨らみそうな年度に備えることができます。

一定の所得を超えたら所得税よりも税負担が軽い

前述のように法人の税率は、所得金額が800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%と、2段階しかありません。個人事業主で負担が増える900万円以上の所得金額なら、個人事業主よりも税負担を抑えられる可能性があります。

我妻 貴之

このように、税制面でのメリットが多いことが「売上が増えたら法人成りしたほうがいい」といわれる大きな理由です。

法人のデメリット

社会的信用や税制面などのメリットがある法人ですが、デメリットも確認しておきましょう。

  • 開業手続きに費用と労力がかかる
  • 社会保険料が高くなる
  • 赤字でも税金がかかる
  • 事務作業が煩雑になる

開業手続きに費用と労力がかかる

法人設立には登記手続きが必要で、他にも社名、所在地、資本金、設立日、会計年度、事業目的、役員など、決めるべきことが多くあります。それに伴い費用もかかるため、しっかりと計画したうえで法人を設立しなくてはなりません。

我妻 貴之

開業手続きが負担に感じる方はフランチャイズへの加盟により、ノウハウの効率的な獲得や業務効率化により負担を軽減できるでしょう。

社会保険料が高くなる

個人事業主で従業員が5人未満であれば、社会保険への加入は任意です。しかし法人は従業員が自分1人でも、社会保険への加入が必要になります。社会保険料によって、金銭的負担が増えてしまう点がデメリットです。

赤字でも税金がかかる

法人税は、たとえ事業所得が0円であっても納めなくてはなりません。赤字は10年繰り越せるものの、必ず税負担が発生する点はデメリットです。

事務作業が煩雑になる

法人は決算時期に、年間収益と費用をまとめた決算書や、法人税申告書という法人税を計算するための書類を作成しなくてはなりません。

我妻 貴之

個人事業主よりも事務作業が煩雑なため、会計知識がなければ自分で行うのは難しく、税理士への依頼と費用が必要です。

個人事業主と法人のメリット・デメリットを比較して、開業方法の選択を!

個人事業主と法人は、開業(設立)手続きやその後の税負担や事務作業などに大きな違いがあります。今回説明したメリットとデメリットから、自分の事業計画ならばどちらが有利なのかを考えてみてください。

なお、フランチャイズ加盟店としての開業は、フランチャイザーの商標とブランド名を使うため、集客がしやすいというメリットがあります。

我妻 貴之

開業当初から売上が900万円を超える可能性もあるため、初めから法人を設立しておくのもひとつです。

Point!

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