フランチャイズは個人事業主と法人どちらで加盟する?本部の条件と4つの違い、途中で法人化する場合

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我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
フランチャイズに加盟するときは、個人事業主のまま始めるか、会社(法人)を作ってから始めるかを決める必要があります。税金の違いがよく比べられますが、その前に確かめたいのは、加盟したい本部が個人の加盟を受けているかどうかです。
この記事では、不動産フランチャイズ26ブランド(SUMiTASを除く)の募集ページで個人と法人の扱いを調べた結果と、個人事業主と法人の4つの違い(開業の手続きと費用・所得にかかる税・消費税・宅地建物取引業(宅建業)の免許)、個人で始めて途中で法人化するときにやり直す手続きを、法令と公的な資料で説明します。
個人事業主でフランチャイズに加盟できるかは本部で違う

個人事業主のままフランチャイズに加盟できるかどうかは、法律ではなく、本部の加盟条件で決まります。私たちは、SUMiTASを除く不動産フランチャイズ26ブランドの公式の加盟募集ページを読み、個人と法人の扱いを調べました(2026年9月25日時点。本部やブランドの名前は出さず、件数だけを示します)。
| 募集ページの記載 | ブランドの数 |
|---|---|
| 法人に限ると書いている | 3 |
| 個人事業主も加盟できると書いている | 2 |
| 記載がない | 21 |
※当社調べ。SUMiTASは数に入れていない(SUMiTASの扱いはこの章の最後の段落)。ブランドごとに数えた(同じ本部の2つのブランドは別に数えた)。本部の公式サイトの本文だけを読み、「法人であること」などと書いてあれば法人に限る、「個人事業主」「個人の方」と書いてあれば個人事業主も加盟できる、に数えた。2ブランドは現行のページが表示されず、保存された過去のページで確かめた。
法人に限ると書いている3ブランドは、どれも宅建業の免許を持つ(取得予定を含む)法人を条件にしていました。一方で、21ブランドは個人か法人かを募集ページに書いていません。記載がないことは、個人で加盟できるという意味ではありません。個人事業主で加盟したいなら、説明会や面談の最初に、個人の名義で加盟契約を結べるか、法人を作る必要があるならいつまでに作るかを確かめてください。
SUMiTASの募集ページにも、個人か法人かの記載はありません。トップページには「法人化前の個人の方など」という言葉がありますが、これは「このような課題やお悩みはありませんか?」の下に並ぶ悩みの例で、加盟の条件ではありません。SUMiTASでは、個人事業主の名義でも加盟契約を結べます。個人事業主でも宅建業の免許は持てるためです。ただし、2026年9月時点で、個人事業主の加盟店はなく、すべて法人です。宅建業者のうち個人の業者は、2026年3月末で1割に満たない割合です(後の「不動産では、宅建業者の9割が法人」の章)。個人事業では信頼を得にくいというのが業界の実情だと、私は見ています。
フランチャイズにおける個人事業主と法人の4つの違い
個人事業主と法人の違いを、フランチャイズで開業する人に関わる4つの点にしぼって、次の表に並べます。
| 違い | 個人事業主 | 法人(株式会社・合同会社) |
|---|---|---|
| 開業の手続きと費用 | 税務署に開業届を出す | 設立の登記をし、税務署に設立の届出を出す。登録免許税は株式会社で15万円から、合同会社で6万円から |
| 所得にかかる税 | 所得税は5〜45%の7段階。住民税と個人事業税もかかる | 法人税は、資本金1億円以下の法人なら、年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%。法人事業税と法人住民税もかかる |
| 消費税 | 前々年の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免除 | 前々事業年度で判定。設立1期目・2期目は原則として免除(資本金1,000万円以上などは除く) |
| 宅建業の免許(不動産の場合) | 個人で受けられる | 法人で受けられる。個人から法人への切り替えは免許換えに当たらない |
表のほかに、経費や信用もよく話題になります。経費では、法人が役員に払う給与は、定期同額給与(毎月など決まった時期に同じ額で払う給与)などであれば、損金(税務上の経費)にできます(不相当に高額な部分を除く。国税庁 No.5211)。社会的な信用や融資については、法人の方が得やすいと言われることがありますが、公的な資料で比べた数字は、私たちが調べた範囲では見当たりませんでした(不動産の仲介での信頼についての私の見方は、最初の章に書きました)。融資については、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、日本政策金融公庫が融資した開業後1年以内の企業(不動産賃貸業を除く)のうち、開業時に個人企業だった割合が57.0%で、個人でも融資を受けて開業している人は多くいます。
1. 開業の手続きと費用
個人事業主は、事業を始めたら、税務署に開業の届出書を出します。期限は、事業を始めた日の属する年分の確定申告期限までです(所得税法229条)。
法人は、会社の設立の登記をし、設立の日(設立の登記の日)から2か月以内に、税務署に法人設立届出書を出します(国税庁「内国普通法人等の設立の届出」)。登記にかかる登録免許税は、株式会社なら資本金の額の1,000分の7で、15万円に満たないときは15万円です。合同会社は同じく1,000分の7で、6万円に満たないときは6万円です(登録免許税法 別表第一)。たとえば資本金100万円なら、株式会社は15万円、合同会社は6万円になります(当社計算)。株式会社は、このほかに定款の認証(会社の決まりを定めた定款を、公証人に確かめてもらう手続き)の手数料がかかり、資本金100万円以上300万円未満なら4万円です(日本公証人連合会)。
資本金には、法律上の下限はありません。法務省は、最低資本金の規制が廃止され、株式会社も資本金1円で設立できると説明しています。
2. 所得にかかる税
個人事業主の所得税は、課税される所得の金額に応じて5%から45%の7段階です(国税庁 No.2260)。令和19年分までは、復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)もあわせて納めます。
法人税は、資本金1億円以下の普通法人なら、所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です(国税庁 No.5759。令和7年4月1日以後に始まる事業年度で所得が年10億円を超える場合などの例外がある)。
個人事業主には、所得税のほかに、住民税と個人事業税がかかります。個人事業税は、東京都の場合、不動産売買業・周旋業・仲立業・代理業などは第1種事業で税率は5%、事業主控除は年間290万円です(東京都主税局「個人事業税」)。法人には、法人税のほかに、法人事業税と法人住民税(法人税割と均等割からなる)がかかります(東京都の例。東京都主税局「法人事業税・法人都民税」)。
税率だけを並べると、個人の所得税は課税所得が大きくなるほど率が上がり、法人税の率は2段階です。ただし、実際の負担は、住民税や、法人から受け取る役員報酬の決め方などで変わります。どちらが有利かは、見込みの所得をもとに税理士に試算してもらってください。
3. 消費税
消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納める義務が免除されます。基準期間は、個人事業主は前々年、事業年度が1年の法人は前々事業年度です。新しく設立した法人は、設立1期目と2期目には基準期間がないため、原則として免除されます。ただし、事業年度の開始の日の資本金が1,000万円以上の法人などは免除されません。また、個人・法人とも、前年(法人は原則として前の事業年度)の最初の6か月(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合と、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は免除されません。特定期間の判定は、課税売上高の代わりに、その期間に支払った給与などの合計額で行うこともできます(国税庁 No.6501)。
4. 宅建業の免許(不動産の場合)
不動産の仲介で開業するときは、宅建業の免許が要ります。東京都の手引は、免許は個人でも法人でも受けられるとし、個人の免許は個人が宅建業を営むためのもの、法人の免許は法人が営むためのものと説明しています。個人で受けた免許のまま、法人で営業することはできません(宅建業法3条1項・12条1項)。詳しくは、後の「個人で始めて途中で法人化する場合」の章で説明します。免許の審査には事務所の要件もあります(不動産業の開業における事務所の審査要件)。不動産業を個人で始める場合の得失は個人事業主として不動産業で開業するメリットとデメリットで説明しています。
不動産では、宅建業者の9割が法人

宅建業の免許を持つ業者のうち、個人の業者の割合は、この約20年で半分以下になりました。国土交通省の令和7年度 宅地建物取引業法の施行状況調査(参考資料)で、年度末の業者数を見ると、次のとおりです。
| 年度末 | 業者の合計 | うち個人 | 個人の割合 |
|---|---|---|---|
| 2006年3月末(平成17年度末) | 13万1,251 | 2万5,803 | 19.7% |
| 2011年3月末(平成22年度末) | 12万5,832 | 2万1,227 | 16.9% |
| 2016年3月末(平成27年度末) | 12万3,249 | 1万7,620 | 14.3% |
| 2021年3月末(令和2年度末) | 12万7,215 | 1万4,738 | 11.6% |
| 2026年3月末(令和7年度末) | 13万3,727 | 1万1,980 | 9.0% |
※割合は当社計算。2006年3月末の行は、令和6年度の同じ調査(参考資料)による(令和7年度の調査は2007年3月末からのため)。
事業所の単位で見ても、個人は約1割です。令和3年経済センサス活動調査では、不動産代理業・仲介業の事業所4万7,242のうち、個人経営は5,642(11.9%)でした(当社計算)。
前の章で触れた日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査(業種全体・不動産賃貸業を除く)では、開業時に個人企業だった割合は、2020年度の61.6%から2025年度の57.0%に下がっています。こちらは開業したときの形を聞いた調査で、免許を持つ業者の数を数えた上の統計とは土台が違うため、数字どうしは比べられません。
不動産で法人の業者が多い理由は、統計からは分かりません。私は、最初の章に書いたとおり、個人事業では信頼を得にくいことが一因だと見ています。制度の面でも、次の章のとおり、個人で始めて途中で法人にすると、免許から受け直すことになります。開業の時点で法人にしておけば、この手続きは起きません。
個人で始めて途中で法人化する場合

個人事業主で開業し、あとから法人にすることを「法人成り」や「法人化」と呼ぶことがあります。フランチャイズで不動産の仲介をしている場合、法人にすると、次の手続きが要ります。
| 手続き | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 宅建業の免許 | 法人として免許を受ける。個人から法人への切り替えは、宅建業法の免許換え(都道府県をまたぐ移転などの3つの場合)に含まれていない | 宅建業法3条1項・7条1項 |
| 個人の宅建業の廃業 | 個人で宅建業をやめたら、30日以内に廃業を届け出る。届出で個人の免許は効力を失う | 宅建業法11条1項5号・2項 |
| 保証協会(または営業保証金) | 法人は新しい宅建業者として、保証協会に入るか営業保証金を供託してから営業を始める | 宅建業法25条5項・64条の13 |
| 加盟契約 | 本部との契約で決まる。SUMiTASでは、法人の名義で結び直す。法人を作ったあとに、会社の登記事項証明書と役員名簿を出す(設立したばかりで決算書がないため、決算書は要らない) | 本部との契約 |
| 税務署 | 個人の事業をやめたら、廃業の届出書を出す | 国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 |
東京都の手引は、宅建士の勤務先の変更登録の説明で、「免許換え申請」と「個人から法人・法人から個人への申請」を並べて書いており、個人から法人への切り替えを免許換えとは別の申請として扱っています。国土交通省の解釈・運用の考え方も、個人業者の相続人や合併後の法人が引き続き宅建業を営む場合について「免許を受ける場合」と書いていて、営む人が変われば免許を受け直すことを前提にしていると読めます。
保証協会に入っていた場合、個人の業者として協会に納めた分担金(弁済業務保証金分担金)は、すぐには戻りません。協会の会員(法律では「社員」)でなくなると、保証協会が6か月以上の期間を定めて公告し、その期間が過ぎてから返されます。協会に払うべきお金が残っていれば、その支払いが済んだあとです(宅建業法64条の11)。協会によっては、公告の費用や事務手続きの費用などを差し引いて返します(全宅保証「入会金・会費等に関する規則」)。法人で入会するための費用と、個人の分が返ってくる時期がずれるので、資金の計画に入れておきます。入会の費用は不動産会社の開業資金でまとめています。
法人の名義で結び直すときの加盟金の扱いや、SUMiTAS以外の本部での加盟契約の結び方は、本部との契約で決まります。加盟の前に、途中で法人にした場合の扱いを書面で確かめておくと安心です。加盟金については不動産フランチャイズの加盟料で説明しています。
加盟相談で個人事業主の方にお伝えしていること
SUMiTASは個人事業主の名義でも加盟できますが、私は、個人事業主でご相談いただいた方には、宅建業の免許を申請する前に法人を作ることをお勧めしています。宅建業の免許と保証協会の手続きを最初から法人でそろえておけば、途中で法人にするときのやり直しがないためです。
法人を作る場合も、1人で始められます。SUMiTASのフランチャイズは、従業員を雇わず1名で開業できます(一人で独立開業)。開業までの手続きの順番は不動産会社を開業する流れで説明しています。
フランチャイズと個人事業主のよくある質問
個人事業主のままフランチャイズに加盟できますか?
本部によって違います。私たちがSUMiTASを除く不動産フランチャイズ26ブランドの募集ページを調べたところ、法人に限ると書くものが3、個人事業主も加盟できると書くものが2、記載のないものが21でした(2026年9月25日時点)。記載がなければ、説明会や面談で最初に確かめてください。SUMiTASは、個人事業主の名義でも加盟契約を結べます(2026年9月時点で、個人事業主の加盟店はありません)。
個人で加盟したあと、法人化できますか?
法人化すること自体はできますが、不動産の仲介なら、宅建業の免許を法人として受け、保証協会の手続きも法人で行います。個人から法人への切り替えは、宅建業法の免許換えに含まれていないためです(宅建業法7条1項)。加盟契約の扱いは本部に確かめてください。SUMiTASでは、法人の名義で加盟契約を結び直します。
法人で加盟するなら、資本金はいくら必要ですか?
法律上の下限はありません。法務省は、株式会社も資本金1円で設立できると説明しています。ただし、株式会社の定款の認証の手数料は資本金の額で変わり、資本金が1,000万円以上だと設立1期目から消費税の免除を受けられません。本部が資本金の条件を置いているかは、加盟の前に確かめてください。
フランチャイズに加盟するとき、個人事業主と法人で融資や信用は違いますか?
法人の方が信用や融資を得やすいと言われることがありますが、公的な資料で比べた数字は、私たちが調べた範囲では見当たりませんでした。ただ、不動産の仲介で個人事業では信頼を得にくいというのが業界の実情だと、私は見ています。融資については、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、日本政策金融公庫が融資した開業後1年以内の企業(不動産賃貸業を除く)のうち、開業時に個人企業だった割合が57.0%で、個人事業主でも融資を受けて開業している人は多くいます。加盟する本部が法人の名義を求めることもあるので、本部の条件もあわせて確かめてください。
個人事業主の開業届は、いつまでに出しますか?
事業を始めた日の属する年分の確定申告期限までです(所得税法229条)。国税庁の案内も同じ期限を示しています。
個人事業主でも法人でも、加盟をやめるときの条件は何で決まりますか?
加盟契約で決まります。契約の期間と、途中でやめるときの条件(違約金・予告の期間)を、契約の前に確かめてください。SUMiTASは契約期間が3年で、中途解約の違約金はなく、解約には3か月前の予告が要ります(よくあるご質問)。解約の注意点はフランチャイズ解約の注意点で説明しています。
まとめ: 不動産フランチャイズは、途中で変えるより最初に決める
- 個人事業主で加盟できるかは本部しだい。SUMiTASを除く不動産フランチャイズ26ブランドの募集ページでは、法人に限る3、個人事業主も可2、記載なし21(2026年9月25日時点・当社調べ)。SUMiTASは個人事業主の名義でも加盟契約を結べるが、2026年9月時点の加盟店はすべて法人
- 表で比べた個人と法人の違いは、開業の手続きと費用、所得にかかる税、消費税、宅建業の免許の4つ。税の有利不利は所得の見込みで変わるので、税理士に試算してもらう
- 宅建業者のうち個人の業者の割合は、2006年3月末の19.7%から2026年3月末の9.0%まで下がり、9割が法人
- 個人で始めて途中で法人化すると、宅建業の免許と保証協会の手続きを法人でやり直す。加盟契約の扱いは本部に確かめる(SUMiTASでは法人の名義で結び直す)
不動産フランチャイズで開業する全体像は、不動産フランチャイズとはで説明しています。
※この記事の内容は、2026年10月時点の情報にもとづいています。制度や金額は変わることがあるため、最新の情報は各機関・各社の公式サイトなどでご確認ください。





