不動産で独立！向いている人、向いていない人の特徴や開業でよくある悩みをチェック

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我妻 貴之（加盟開発課 課長）　詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。

「成果を上げた分だけ収入がほしい」「自分の思うように営業したい」など、不動産会社で働いていると、独立を考えることもあるのではないでしょうか。

不動産業は他業界よりも比較的独立しやすいので、業界経験を活かして不動産会社を開業する方も多くいます。しかし開業は、誰しもに向いているわけではありません。そこで本記事では、不動産業での独立を考えている方へ向けて、

• 独立開業する方法
• 独立が向いている人と向いていない人の特徴
• 開業前によくある悩み

などを説明します。

独立開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

不動産で独立する2つの方法

不動産業で独立開業するときには、主に「独立店舗」と「フランチャイズ加盟店」の2つの方法があります。同じ不動産業でも特徴が若干異なるので、それぞれの特徴から、どちらが自分に適しているのかを考えてみてください。

方法1：独立店舗で開業する

業界経験者なら、まず考えるのが“独立店舗としての開業”ではないでしょうか。
事務所を構える場所や営業形態、経営方針などを全て自分で決められるので、営業マニュアルに縛られることなく、自分が思うように営業接客できるのが魅力です。

しかし開業すると、営業だけではなく事務作業も全て自分でこなさなくてはなりません。
企業では事務員やアシスタントが担うことが多い、経理や顧客登録などの事務作業の負担が増えるので、これまでよりも営業に割ける時間が減る可能性があります。

さらに事業計画の作成や売上の把握など、経営を続けるための知識も必要です。

方法2：フランチャイズ加盟店として開業する

「経営の知識がない」「営業は得意だけど集客が不安」など、経営や集客に対して不安がある方におすすめなのが、フランチャイズ加盟店として開業する方法です。

大手不動産会社のネームバリューで集客が期待できるので、不動産業界での知識と経験を活かした営業を行えば、独立店舗よりも早く収入を安定させられるでしょう。

ただし、不動産売買取引は高額になることがほとんどのため、ネームバリューがあっても広告活動なくして集客が期待できるわけではありません。ネームバリューを最大限に活かすための広告活動やアイデアは、必要になるでしょう。

また、フランチャイズ加盟するとフランチャイザー（本部企業）のシステムが利用できることが多く、事務作業を効率よく進められる点もメリットです。研修や面談などのサポート体制も整っているため、経営に対する不安をすぐに相談できる窓口があります。

ただし、フランチャイズに加盟するためには、契約時の加盟金と毎月のロイヤリティがかかります。経営に役立つサービスが充実してはいますが、業界経験がある方は独立店舗という選択肢も選べるので、どちらが自分に適しているのかをよく考えてみてください。

不動産業で独立開業するときに求められるもの

不動産業での独立開業に必要なのは、「ただ不動産が好き」という気持ちだけではありません。さまざまな要素が求められます。

不動産知識と経営ノウハウ

独立開業する上で重要になるのは、不動産知識と経営ノウハウです。

仲介や買取の流れ、売買契約、税金面についてなどの不動産の基礎知識はもちろん、集客や売上管理、事業計画のような経営知識も求められます。また、人を採用する場合は労務面の知識も必要です。

さらに宅建業者は年々増加傾向にあるため、安定した経営を続けるためには他社との差別化が必須です。知識のみならず、経営戦略も重要になるでしょう。

開業資金と維持費

不動産業で独立するためには、事務所の確保や営業保証金、宅建業者免許申請料などさまざまな初期費用がかかります。

開業に必要なさまざまな資金の用意も、開業に求められる要素のひとつです。開業資金の目安は400〜1,000万円と他業種と比べて低めではありますが、開業当初は赤字月もあると想定して、1年分程度の維持費も合わせて用意しておきたいところです。

事務所家賃や光熱費などの目安は年間200〜250万円といわれていますが、自分の生活費も含めて、多めに用意しておくことをおすすめします。

人脈と地元情報

独立店舗としての開業は、しばらくの間は人脈に頼った営業になる場合がほとんどです。

そのため独立前から異業種交流会に積極的に参加し、企業や取引先とのつながりを深くすることで、少しずつ人脈を広げておかなくてはなりません。
また、地元に根付いた不動産会社にするためには、地域の不動産ニーズや環境、都市開発、歴史などの地元情報についても学んでおく必要があります。

不動産業で独立開業が向いている人・向いていない人

不動産業での独立に向いているのか悩んだときには、自分を客観視して考えることが大切です。この章では独立開業が向いている人、向いていない人の特徴をそれぞれ説明します。

独立開業が向いている人の特徴

独立開業が向いているのは、次のような人です。

• 不動産業に関心がある
• 地元の不動産情報に詳しい
• 営業力や行動力があるとよく言われる

不動産市場は常に動いているため、市場情報の関心や地元情報の調査などは、独立において欠かせないポイントです。
また経営を安定した状態で続けるためには、顧客を獲得する営業力や、新規開拓ができる行動力も求められます。

自己判断は難しいかもしれませんが、上記の内容で褒められることが多い人は、独立開業に向いていると言えるでしょう。

独立開業が向いていない人の特徴

独立開業よりも会社勤めのほうが向いている可能性が高いのは、次のような人です。

• 安定した収入を得たい
• 資金をまったく用意できない、初期費用を出したくない
• 自分で決断するのが極端に苦手

自営業の収入は天井知らずではありますが、その反面、会社勤めに比べて不安定です。収入がいつ増えいつ減るのか正確な予測もできないため、安定を重視する方には向いていないでしょう。

また、初期投資をしたくない方や自分で決断するのが苦手な方も、独立後は投資や決断事項が増えるため、ストレスを感じてしまう恐れがあります。

しかし、向いていない人の特徴に近いからといって、開業を諦める必要はありません。たとえばフランチャイズ加盟で経営ノウハウを学んだり、定期的な研修やサポートを受けたりするなど、苦手を克服する対策をすれば、独立開業も可能になるでしょう。

不動産業で独立開業するときによくある悩み

不動産業での独立を考えている方は、どのような悩みを抱えているのでしょうか。最後に、独立開業でよくある悩みに3つお答えします。

集客やブランディングをどうするか

集客やブランディングは、一朝一夕でできるものではありません。
経営の実績や他社との差別化、ニーズに合わせた戦略などのマーケティング要素が求められるため、時間をかけて根気強く続けることが大切です。

それらを「面倒だ」「自分には難しい」と感じる方は、ブランド力の高いフランチャイズ加盟店として開業するのが、集客やブランディング確立の近道となるでしょう。

少人数で業務を回せるか

1人または少人数での経営は、作業効率をいかに良くするかがポイントになります。

物件情報や顧客情報の登録にしても、手入力よりもシステム入力のほうが効率よく業務が進むので、作業を簡略化するためにもシステムの導入がおすすめです。

個人でのシステム導入は費用負担が大きいですが、フランチャイズに加盟してフランチャイザー提供のシステムを利用すれば、導入費用を抑えられます。

開業資金をどう用意するか

開業資金は、自己資金、融資、補助金のいずれかの方法で用意するのが一般的です。
融資については金融機関に相談し、補助金と融資の相談ならば商工会議所に相談してみると良いでしょう。

働き方の多様化によって開業資金の融資や補助金は増えていますが、それでも限度があります。「自己資金がまったくない」という方は、まずは最低限の資金を準備することから始めましょう。

自分の強みを活かす独立開業の成功ポイント

不動産業界経験者の方が独立開業を目指すときには、不動産知識や地元情報だけではなく、経営ノウハウや人脈構築、開業資金や運転資金などのさまざまな要素が求められます。

時間をかけて少しずつ準備することもできますが、自分の得意、不得意から開業方法を検討することが成功への近道です。

営業だけではなく経営関係の知識がある方や、経営戦略を立てるのが得意な方は独立店舗での開業を、経営に不安がある方は、フランチャイズ加盟を検討すると良いでしょう。