不動産開業に必要な資格は?仲介なら宅建士だけ。免許との違い、取る順番、宅建士がいない場合

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我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
不動産で独立して会社を開くには、どんな資格が要るのでしょうか。資格の一覧を調べると、宅建士のほかにもたくさんの名前が並んでいて、どれから取ればよいのか迷います。
先に答えを書くと、売買や賃貸の仲介で開業するのに必須の資格は、宅地建物取引士(宅建士)だけです。しかも、経営者本人が持っている必要はなく、事務所に専任の宅建士がいれば条件を満たせます。この記事では、資格と免許の違い、専任の宅建士が何人要るか、宅建士がいない場合の確保のしかた、開業したあとに足すと仕事の幅が広がる資格と、取る順番まで、法令と試験の公表値をもとに整理します。
仲介で開業するのに必須の資格は宅建士だけ
不動産の仕事は、何をするかで要る資格や許認可が変わります。
| 始める仕事 | 必要な許認可 | 必要な資格 |
|---|---|---|
| 売買や賃貸の仲介(媒介)や代理 | 宅地建物取引業の免許 | 事務所ごとに専任の宅建士(業務に従事する人の5分の1以上) |
| 自分で土地や建物を売り買いする | 宅地建物取引業の免許 | 同上 |
| 自分の物件を貸す(大家) | なし(宅地建物取引業に当たらない) | なし |
| 賃貸住宅の管理を200戸以上受ける | 賃貸住宅管理業の登録 | 営業所や事務所ごとに1人以上の業務管理者 |
※宅地建物取引業法2条2号・3条1項・31条の3、同法施行規則15条の5の3、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律3条1項・12条1項、同法施行規則3条による。
宅地建物取引業(宅建業)とは、土地や建物の売買・交換を自ら行うことと、売買・交換・貸借の代理や媒介をすることを、業として行うことです(宅建業法2条2号)。自分の物件を貸すことは、この定義に入っていません。そのため、大家として部屋を貸すだけなら、免許も宅建士も要りません。
仲介で開業する場合に要る資格は宅建士だけで、その条件は「事務所に専任の宅建士がいること」です。経営者本人が宅建士でなくても、宅建士を雇えば、資格の条件は満たせます。ただし、その宅建士が辞めたときの手当てが要ります(「宅建士を確保する3つの方法」の章)。
SUMiTASのフランチャイズも、不動産業の経験がなくても加盟でき、宅建士の在籍が条件です(よくあるご質問)。本部で集計できた加盟店26店(2026年9月29日時点)では、専任の宅建士を経営者本人が務める店舗が23店、経営者以外の役員が務める店舗が0店、雇った宅建士が務める店舗が3店です。複数に当てはまる店は、経営者本人、役員、雇った宅建士の順で、先に当てはまるほうに数えています。
宅建業の免許と宅建士の資格は別物

開業の準備で混同しやすいのが、資格と免許です。
- 宅建士の資格は、人に出るものです。試験に合格し、都道府県の知事の登録を受け、宅建士証の交付を受けた人が「宅地建物取引士」です(宅建業法2条4号・18条・22条の2)
- 宅建業の免許は、会社(個人で開業するなら本人)に出るものです。1つの都道府県だけに事務所を置くなら知事、2つ以上の都道府県に置くなら国土交通大臣から受けます(同法3条1項)
2つはつながっています。免許を受けて営業するには、事務所ごとに専任の宅建士を置く必要があるからです(同法31条の3第1項)。宅建士証まで受け取った人がいなければ、事務所を開けません。免許を受けたあとは、保証協会に入るか営業保証金を供託してから営業を始めます。開業までの手続きの順番と期間は不動産会社を開業する流れで、営業保証金と保証協会の違いは営業保証金と保証協会の違いで、宅建士の登録から宅建士証までの手続きは宅建合格後の手続きで説明しています。
専任の宅建士の人数

専任の宅建士の数は、その事務所で宅建業の業務に従事する人の5分の1以上です(宅建業法施行規則15条の5の3)。従事する人が5人までなら1人、6〜10人なら2人、11〜15人なら3人が要ります。専任の宅建士は、成年者でなければなりません(宅建業法31条の3第1項)。
数えるのは営業の担当者だけではありません。国土交通省の解釈・運用の考え方は、宅建業だけを営む業者について、原則として、代表者、非常勤を除く役員、すべての従業員を含み、受付・秘書・運転手なども数えるとしています(宅地建物の取引に直接の関係が乏しい業務に臨時に従事する人は除く)。受付の人を雇って2人になっても、6人になるまでは宅建士は1人で足ります。
1人で開業する場合は、自分が宅建士であれば条件を満たせます。宅建業者本人(法人の場合は役員)が宅建士で、主にその事務所で業務に従事するときは、その人が専任の宅建士とみなされるためです(宅建業法31条の3第2項)。SUMiTASも、従業員を雇わず1名で開業することができます(一人で独立開業)。
宅建士を確保する3つの方法
本人が取る
宅建試験は年1回です。2026年度の試験は10月18日(日)に行われ、合格発表は11月25日(水)です。2025年度の試験は合格率18.7%でした(不動産適正取引推進機構)。
合格したら、都道府県の知事の登録を受け、宅建士証の交付を受けて、はじめて専任の宅建士になれます。実務経験が2年に満たない人は、原則として、登録の前に登録実務講習を修了します(国や地方公共団体などで宅地や建物の取得・処分の業務に通算2年以上従事した人は不要)。手続きと費用、合格発表から宅建士証までの日数は宅建合格後の手続きにまとめています。
宅建士を雇う
本人が宅建士でなければ、宅建士を雇って専任の宅建士にする方法があります。このとき大事なのは「専任」の中身です。解釈・運用の考え方は、専任を「原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(略)して、専ら当該事務所に係る宅地建物取引業の業務に従事する状態」としています。週に何日か来てもらう、ほかの会社と掛け持ちする、という形では専任になりません。ITを使うなどして適切な業務ができる体制を整えたうえで、事務所以外で通常の勤務時間を働く場合は、常勤に含まれます。
雇うときに気をつけたい点が2つあります。
- 専任の宅建士が辞めて人数が足りなくなったら、2週間以内に補わなければなりません(宅建業法31条の3第3項)。専任の宅建士が1人しかいない事務所では、辞めた時点で次の人を探すことになります
- 実際には勤めていない宅建士を、専任の宅建士として置くことはできません。専任は、常勤で専らその事務所の仕事をする人だからです。ほかの事務所で専任として勤めている宅建士が、別の業者に、その業者の事務所の専任の宅建士として表示することを許した場合、その宅建士は知事から指示や1年以内の事務の禁止の処分を受けることがあり、情状が特に重いときは登録を消除されます(同法68条1項1号・2項、68条の2第1項4号)
家族や共同経営者に役員になってもらう
家族や共同経営者が宅建士なら、その人を会社の役員にする方法もあります。役員が宅建士で、主にその事務所で業務に従事するときは、その人が専任の宅建士とみなされます(宅建業法31条の3第2項)。個人で開業する場合は、家族を常勤の従業員として専任の宅建士にします(条件は「宅建士を雇う」と同じです)。
宅建士の登録者は多いが、宅建士として働く人は3割
不動産適正取引推進機構の統計では、2026年3月末に宅建士の資格登録をしている人は124万3,738人いますが、宅建業で働いている宅建士は36万5,008人(登録者の29.3%)です。専任の宅建士は、1業者あたり平均1.8人です(数字の内訳は「宅建合格後の手続き」の記事)。
登録している人の数だけを見ると、宅建士の資格を持つ人はたくさんいます。ただ、登録者の7割は、宅建士として宅建業で働いていません。雇う側に必要なのは、常勤で専らその事務所の仕事をする専任の宅建士です。登録者の多さが、そのまま雇いやすさにつながるとは限りません。
それでも私は、宅建士の資格を持っていない方には、無理のない範囲で「ハイブリッド型」をお勧めしています。宅建士を雇って開業の準備を進めながら、ご本人もあとから宅建士の資格を取るやり方です。お勧めする理由は、宅建試験が毎年10月の年1回しかないためです。実務経験がない方は、登録の前に登録実務講習を修了する必要があります。宅建士証を受け取ったあとには、免許の申請と保証協会の手続きもあります。そのため、実務経験がない方は、合格した年の翌年の4月下旬から5月上旬に開業するのが最短で、実際にはもっと遅れると思います。ご本人の合格を待ってから準備を始めると、試験のタイミングによっては、開業が計画より大幅に遅れることがあります。あとからご本人も宅建士になれば、雇った宅建士が辞めても、残って業務に従事する人が5人までの事務所なら、専任の宅建士は欠けません。2週間以内に次の人を探さずに済みます。
開業したあとに足すと仕事が広がる資格
宅建士のほかの資格は、仲介で開業するのには要りません。開業したあとに、扱う仕事を広げるときに役立つものです。
| 資格 | その資格でできること(公表の説明と法令から) | 受験料 | 直近の結果 |
|---|---|---|---|
| 賃貸不動産経営管理士 | 賃貸住宅の管理を200戸以上受けるときに置く業務管理者の要件の1つ(ほかに管理業務の実務経験2年以上などが要る) | 1万2,000円 | 2025年度 合格率29.5% |
| 管理業務主任者 | マンション管理業者が管理組合に重要事項の説明や管理事務の報告をするときに必要 | 8,900円 | 2025年度 合格率19.6% |
| マンション管理士 | 登録を受けて、管理組合の運営などについて、管理者や区分所有者の相談に応じ、助言や指導をする(マンションの管理の適正化の推進に関する法律2条5号) | 9,400円 | 2025年度 合格率11.0% |
| 不動産鑑定士 | 報酬を得て不動産の鑑定評価をする不動産鑑定業では、鑑定評価は鑑定士でなければ行えない(不動産の鑑定評価に関する法律36条1項)。試験の合格後、実務修習を修了して登録を受ける | 1万3,000円 | 2026年 論文式(短答式の合格者が受ける2段目) 受験者1,182人・合格者208人(合格率17.6%) |
| 土地家屋調査士 | 登録を受けて、不動産の表示に関する登記に必要な土地・家屋の調査や測量、登記の申請手続の代理をする(土地家屋調査士法3条1項) | 8,300円 | 2025年度 受験者4,824人・合格者489人(10.1%・当社計算) |
※各実施団体・国土交通省・法務省の公表による(2026年10月19日確認)。受験料のうち、管理業務主任者とマンション管理士は「非課税」と表示されている。不動産鑑定士は書面で申請する場合の額(電子申請は1万2,800円)。
2つ、知っておくと役立つことがあります。
1つは、宅建士なら賃貸住宅管理業の業務管理者になる道がもう1つあることです。業務管理者の要件は、管理業務の実務経験2年以上(または同等以上の能力)に加えて、賃貸不動産経営管理士の試験に合格しているか、宅建士で国土交通大臣が指定する講習を修了していることです(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律〈賃貸住宅管理業法〉施行規則14条)。宅建士であれば、管理の仕事を広げるときに、新しい試験を受けずに済む道があります。解釈・運用の考え方は、専任の宅建士が業務管理者を兼ねて、その仕事をすることは差し支えないとしています。
もう1つは、ほかの資格の仕事を同じ場所であわせて行うときの注意です。解釈・運用の考え方は、個人の宅建業者が自ら宅建士となっている事務所で、その人が土地家屋調査士や行政書士などの業務もあわせて行う場合、ほかの業務の量を考えて専任と認められるものを除き、専任の宅建士とは認めないとしています。個人で開業して、ほかの資格の仕事も同じ場所で受けるつもりなら、専任として認められるかを先に免許の窓口で確かめてください。
不動産開業の資格を取る順番

取る順番は、開業の時期に沿って考えると決めやすくなります。
- 開業の前: 宅建士(本人が取るか、専任の宅建士を雇うか、宅建士の家族や共同経営者に役員になってもらう)。資格の面では、これだけで仲介の免許の条件を満たせる(事務所の要件などは別にある)。本人が宅建士でない場合は、宅建士を雇って開業の準備を進め、本人はあとから取る形もある(「宅建士の登録者は多いが、宅建士として働く人は3割」の章)
- 開業したあと: 扱う仕事を広げるときに、事業の登録と、その仕事に要る資格を足す
- 賃貸住宅の管理を200戸以上受ける: 賃貸住宅管理業の登録と業務管理者(実務経験などの要件に加えて、賃貸不動産経営管理士か、指定の講習を修了した宅建士)
- マンションの管理業務を受ける: マンション管理業の登録と管理業務主任者
- 報酬を得て不動産の鑑定評価をする: 不動産鑑定業者の登録(不動産の鑑定評価に関する法律22条1項)と不動産鑑定士
先に宅建士以外の資格を取っても、それだけでは仲介の免許は受けられません。反対に、宅建士がそろえば、資格の面ではほかの資格がなくても開業できます。SUMiTASは不動産売買専門のフランチャイズで、賃貸業の指導はしていません(賃貸の質問や相談には応じています。よくあるご質問)。売買仲介で開業するなら、まず宅建士に集中するのが近道です。
1人で開業する場合の進め方は一人で不動産会社を開業する方法で、事務所の条件は不動産開業の事務所の審査要件で、必要なお金は不動産会社の開業資金で説明しています。
不動産開業の資格のよくある質問
不動産会社を開業するのに必要な資格は何ですか?
売買や賃貸の仲介で開業するなら、必須の資格は宅建士だけです。事務所ごとに、業務に従事する人の5分の1以上の専任の宅建士を置く必要があります(宅建業法31条の3第1項・同法施行規則15条の5の3)。このほかに、会社(個人で開業するなら本人)が宅建業の免許を受けます。
宅建士の資格がなくても、不動産会社を開業できますか?
できます。宅建士を雇って、専任の宅建士として事務所に置けば、経営者本人が宅建士でなくても開業できます。ただし、専任の宅建士は常勤で専らその事務所の仕事をする人でなければならず、辞めて人数が足りなくなったら2週間以内に補う必要があります(宅建業法31条の3第3項)。私は、宅建士を雇って開業の準備を進めながら、ご本人もあとから宅建士の資格を取る形をお勧めしています。宅建試験は年1回で、ご本人の合格を待つと開業が遅れやすく、あとからご本人も宅建士になれば、雇った宅建士が辞めたときの備えにもなるためです。
宅建試験から何か月で、専任の宅建士になれますか?
宅建試験は年1回で、2026年度は試験が10月18日に行われ、合格発表は11月25日です。実務経験がない人が東京都に申請する例では、合格発表から宅建士証まで早くても3か月半ほどかかるので、試験からはおよそ5か月です。実務経験が2年以上ある人は講習が要らず、合格発表のすぐあとに東京都へ申請すれば、宅建士証まで1か月ほど(試験からはおよそ2か月あまり)です(宅建合格後の手続き)。2025年度の合格率は18.7%でした。
宅建士の資格がなくても、不動産の営業はできますか?
できます。宅建士でなければできないのは、取引の相手に重要事項を記載した書面を交付して説明すること(説明のときは宅建士証を見せる)と、その書面と契約の書面に記名することです(宅建業法35条・37条)。ただし、宅建業の事務所には、業務に従事する人の5分の1以上の割合で専任の宅建士が必要です。
大家として部屋を貸すだけでも、宅建士や免許は要りますか?
要りません。自分の物件を貸すことは宅建業に当たらないためです(宅建業法2条2号)。ただし、ほかの人の賃貸住宅の管理を200戸以上受けるなら、賃貸住宅管理業の登録と業務管理者が必要です(賃貸住宅管理業法3条1項・12条1項、同法施行規則3条)。
まとめ: 仲介で開業するなら、まず宅建士を確保する
- 売買や賃貸の仲介で開業するのに必須の資格は宅建士だけ。事務所ごとに、業務に従事する人の5分の1以上の専任の宅建士を置く
- 資格は人に、免許は会社(個人で開業するなら本人)に出る。宅建士証まで受け取った人を専任の宅建士として置いて、はじめて免許を受けて営業できる
- 本人が宅建士でなくても、雇った宅建士や、宅建士の役員で条件を満たせる。専任は常勤で専らその事務所の仕事をする人で、辞めたら2週間以内に補う
- 本人が宅建士でないなら、宅建士を雇って開業の準備を進め、本人もあとから資格を取る形がある。宅建試験は年1回なので、本人の合格を待つより開業が遅れにくい。雇った宅建士が辞めても、残って業務に従事する人が5人までなら専任が欠けない
- ほかの資格は、開業したあとに仕事を広げるときに足せばよい。宅建士なら、管理業務の実務経験2年以上(または同等以上の能力)があれば、指定の講習で賃貸住宅管理業の業務管理者になる道もある。個人で開業し、同じ場所でほかの資格の仕事もあわせて行うと、専任と認められないことがある
不動産フランチャイズで開業する全体像は不動産フランチャイズとはで確かめられます。
※この記事の内容は、2026年10月時点の情報にもとづいています。制度や金額は変わることがあるため、最新の情報は各機関・各社の公式サイトなどでご確認ください。



