不動産業界の今後と市場規模。業者数・事業所・取引の件数と価格を統計で読む

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我妻 貴之(加盟開発課 部長) 詳細プロフィール
不動産業界で18年以上の経験を持ち、賃貸仲介から売買、競売入札、民泊運用まで幅広く対応。不動産経営の最適化を目指し、開業や事業拡大をサポート。
人口が減るなかで、不動産業界の今後や将来性はどうなるのでしょうか。業界の数字を分けて見ると、増えているもの、あまり増えていないもの、減っているものがあります。
この記事では、国や業界団体が公表している統計をさかのぼり、業者の数、事業所の大きさ、取引の件数と価格、地域の差、市場規模の5つに分けて、不動産業界の今後を読みます。あわせて、10年後を考える材料として、世帯と空き家の数も見ます。そのうえで、これから不動産会社を開業する人にとっての意味を考えます。
不動産業界の今後を5つの数字で見る
| 見る数字 | 分かること |
|---|---|
| 宅建業者の数 | 2025年3月末で13万2,291業者。11年続けて増えている。この10年、新規免許は毎年およそ5,600〜7,000件、廃業の届出も毎年およそ3,600〜4,000件ある |
| 事業所の大きさ | 不動産業の事業所の81.7%、仲介業の事業所の71.4%は従業者1〜4人(いずれも雇用者のいない個人経営の事業所を除く) |
| 取引の件数と価格 | 首都圏の中古マンションは、2015年から2024年で成約件数が7.0%増え、平均の成約価格は69.1%上がった |
| 地域の差 | 国交省の資料では、知事免許の業者が22府県で減り(平成25年度→令和5年度)、宅建業者の事務所がない市区町村が247(14%)ある |
| 市場規模 | 不動産業の法人の売上高は58兆6,809億円(2025年度)。賃貸・管理を含む数字 |
不動産業界は衰退しているのか、という問いには、どの数字で見るかで答えが変わります。業者の数と売上高は、この10年ほどで増えました。一方、首都圏の中古マンションの成約件数は2015年から2024年で7.0%の増加にとどまり、価格の上昇で取引額が膨らんでいます。2025年度は、売上高が前年度から0.2%、経常利益が9.6%減りました。また、知事免許の業者は、平成25年度と令和5年度を比べると22府県で減っています。
不動産業界の市場規模
「不動産業の市場規模」として出てくる数字は、何を数えたかで大きく違います。
| 数字 | 何を数えたか | 最新の値 |
|---|---|---|
| 不動産業の売上高 | 財務省「法人企業統計」の不動産業の法人(賃貸・管理・資産管理会社を含む) | 58兆6,809億円(2025年度) |
| 不動産業の法人数 | 同上 | 39万2,110社(2024年度) |
| 宅建業者数 | 宅地建物取引業の免許を受けた業者 | 13万2,291業者(2025年3月末) |
| 不動産代理業・仲介業の事業所 | 経済センサスの業種の小分類(雇用者のいない個人経営を除く) | 4万1,093事業所・20万733人(2024年6月) |
法人企業統計の不動産業の売上高は、増減を繰り返しながら、2016年度の42兆9,824億円から2024年度には58兆8,245億円になり、2025年度は0.2%減りました。経常利益は2025年度に7兆2,123億円で、前年度から9.6%減っています。この売上高には賃貸や管理の売上も入っており、仲介だけの市場の大きさを示す数字ではありません。
宅建業者の数は11年続けて増えている

国土交通省の「宅地建物取引業法の施行状況調査」によると、宅建業者は2025年3月末で13万2,291業者(大臣免許3,158、知事免許12万9,133)で、前年から1,708業者増え、11年続けて増えました。2006年3月末の13万1,251業者から2014年3月末の12万2,127業者まで減り、そこから増えています。
毎年、免許を受ける業者とやめる業者の両方があります。2024年度は、新規免許が6,854件、廃業の届出が3,826件、免許の期限切れが625件でした。年度末の業者数に対して、新規免許は5.2%、やめた業者(廃業と期限切れ)は3.4%にあたります(当社計算)。この10年、新規免許は毎年およそ5,600〜7,000件で、廃業の届出も毎年およそ3,600〜4,000件あります。免許を取れば事業が続くわけではありません。新規免許の件数に、すでに業者だった会社の免許の取り直しがどれだけ含まれるかは公表資料から分からないため、すべてが新しい参入とは限りません。
個人で免許を受けている業者は、2006年3月末の2万5,803業者から2025年3月末の1万2,389業者と半分以下に減り、法人は10万5,448業者から11万9,902業者に増えました。
仲介は小さな事業所の集まり
SUMiTASは、従業員を雇わずに1名から開業できます。そのうえで、業界全体の事業所の大きさを見てみます。

令和6年経済センサス‐基礎調査(2024年6月)では、不動産業の事業所25万462のうち、従業者1〜4人の事業所が20万4,702で81.7%でした。不動産代理業・仲介業に限ると、4万1,093事業所で20万733人が働いており、1事業所あたり4.9人で、全産業の平均14.0人の3分の1ほどです。1〜4人の事業所が71.4%を占めます(割合と1事業所あたりの人数は当社計算)。これらの数字には、雇用者のいない個人経営の事業所は入っていません。4.9人は仲介業の事業所の平均で、開業に必要な人数ではありません。

不動産業全体の法人(賃貸・管理・資産管理会社を含む)で見ても、39万2,110社のうち、資本金1千万円未満が27万9,527社(71.3%)ですが、売上高では16.6%にとどまります(2024年度・当社計算)。小さな会社が数では大半を占め、売上は資本金の大きな会社に偏っています。1名で不動産会社を開く方法は、1人でもできる小規模不動産会社の開業方法で説明しています。
取引の件数と価格の動き

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)による首都圏(1都3県)の集計では、中古マンションの成約件数は2015年の3万4,776件から2024年の3万7,222件へ7.0%増えました。この間に、平均の成約価格は2,892万円から4,890万円へ69.1%上がっています。件数×価格で出した取引額の概算は、約1.01兆円から約1.82兆円へ1.81倍です(当社計算)。
2025年の成約件数は4万9,114件と大きく増えていますが、機構は、2025年1月以降に行ったシステム改修が成約件数に影響している可能性があると注記しています。このため、この記事では2025年の数字を使わず、2024年までで比べています。
全国の中古住宅(既存住宅)の取引は、数え方で見え方が変わります。新築と中古を合わせた住宅の流通量のうち中古が占める割合を「既存住宅流通シェア」といい、国交省は数え方の違う2つの値を示しています。総務省の住宅・土地統計調査をもとにした値では、中古は持家として取得した中古住宅(2023年に15.9万戸)、新築は貸家を含む新設住宅の着工(同82.0万戸)で、既存住宅流通シェアは2023年に16.2%でした。中古の取引戸数は1999年から2023年まで14.7万〜19.2万戸の範囲です。一方、既存住宅販売量指数をもとにした国交省の別の資料では、中古は2013年の27.5万戸から2023年の31.9万戸に増え、新築は注文住宅と分譲住宅(2023年に47.0万戸)に限っていて、シェアは40.4%です。中古の数え方も新築の範囲も違うため、どちらの数字かを確かめてから読む必要があります。
仲介会社が売主・買主のそれぞれから受け取れる手数料(報酬)の上限は、国交省の告示で決まっています。売買の代金を区分し、200万円以下の部分に5.5%、200万円を超え400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%(いずれも消費税等を含む)を掛けた額の合計までです。上限は代金が大きいほど大きくなるため、首都圏の中古マンションでは、件数が大きく増えなくても、価格の上昇で1件あたりの手数料の上限が上がり、仲介の売上を押し上げる方向に働いたと考えられます。価格が下がれば、逆に働きます。仲介の仕組みは、不動産売買仲介業のビジネスモデルで説明しています。
地域で違う不動産業界の業者と事務所の数
国交省の既存住宅市場の整備・活性化懇談会の資料(2024年12月)によると、全国の宅建業者はこの10年で増えた一方、都道府県知事の免許を受けた業者は22府県で減っています(平成25年度と令和5年度の比較)。全国1,747市区町村のうち、宅建業者の事務所がない自治体は247(14%)、事務所が1〜5か所の自治体は392(22%)でした。
事務所が少ないのが人口や取引の少なさによるものかどうかは、この資料からは分かりません。開業する地域を考えるときは、事務所の数だけでなく、その地域の人口や取引の量もあわせて確かめる必要があります。
10年後の不動産業界

10年後を考える材料として、世帯の数と空き家の数を見ます。
国立社会保障・人口問題研究所の推計(2024年)では、一般世帯の総数は2020年の5,570万世帯から増え、2030年の5,773万世帯でピークを迎えたあと、2035年は5,726万世帯、2050年は5,261万世帯に減ります。10年ほど先の2035年も、2020年の5,570万世帯を上回る水準です。一人暮らしの世帯は2036年まで増えると推計されています。
空き家は、総務省の住宅・土地統計調査(2023年)で900万2千戸、空き家率13.8%と、いずれも過去最多・最高でした。1993年からの30年間で、空き家の数は約2倍になりました。このうち、賃貸用・売却用・別荘などを除く空き家は385万6千戸で、2018年から36万9千戸増えています。
価格の安い空き家などの仲介には、手数料の特例があります。代金800万円以下の宅地や建物(空き家に限りません)の売買の仲介では、媒介に要する費用を勘案して、通常の計算を超えて、依頼者ごとに最大33万円(税込)まで報酬を受けられます。ただし、仲介の契約(媒介契約)を結ぶときに、あらかじめ報酬額を依頼者に説明し、合意しておく必要があります(国交省の告示と「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」。告示は2024年6月改正、7月1日施行)。
これから不動産業界で開業する人にとっての意味
数字から言えること
統計から言えるのは、次のことです。業者は増えていて、この10年、新規免許は毎年およそ5,600〜7,000件で、同時に廃業の届出も毎年およそ3,600〜4,000件あります。仲介は小さな事業所の集まりで、大手だけの業界ではありません。首都圏の中古マンションでは件数より価格の上昇で取引額が伸びており、手数料の上限が代金に応じて決まるため、価格の動きは1件あたりの手数料の上限を通じて、仲介の売上にも響くと考えられます。そして、知事免許の業者が減っている府県や、事務所のない市区町村もあります。
開業を考える人にとっての判断の材料は、次の3つです。1つ目は、免許を取るだけで事業が続くわけではないことです。2つ目は、仲介は小さな事業所の集まりで、SUMiTASでは1名から開業できることです(仲介業の事業所の平均4.9人は、開業に必要な人数ではありません)。3つ目は、開業する地域では、事務所の数だけでなく人口や取引の量も確かめる必要があることです。
開業にかかるお金は不動産会社の開業資金、手続きの順番は不動産会社を開業する流れで説明しています。業界の個別の課題は、不動産DXと不動産業界の人材不足で取り上げています。
SUMiTASの出店の考え方
SUMiTASは2019年の設立で、71店舗(出店準備中を含む。2026年10月時点)、27都道府県に展開しています。加盟金・ロイヤリティのご案内にあるとおり「人口10万人につき1店舗」を基準にしており、中核市や人口10万〜20万人の各地方都市に数多く出店しています。出店できる地域は出店可能エリアで確かめられます。
本部から見た今後の売買仲介
中核市やそれに準ずる都市での売買仲介では、相続した家や空き家の売却の相談が、まだまだ増え続けると見ています。一方で、おおむね人口10万人前後の地方都市では、簡単には売れない売却の案件も年々増加傾向にあるため、売主から直接相談を受けられるだけではなく、適正価格に設定したうえでの販売を売主から任せられる店舗が強くなると考えています。
不動産フランチャイズで開業する全体像は、不動産フランチャイズで独立開業するための実践ガイドで確かめられます。
不動産業界の今後のよくある質問
不動産業界は今後どうなりますか?
統計から見える不動産業界の動向は、業者の数は増え続けている一方、毎年一定の数がやめていること、首都圏の中古マンションでは件数より価格が伸びていること、知事免許の業者が減っている府県があることです。世帯の数は2035年も2020年を上回る水準と推計され、空き家はこれまで増え続けてきました。
不動産業界は衰退していますか?
どの数字で見るかで変わります。宅建業者の数は11年続けて増え、法人企業統計の不動産業の売上高も2016年度の42兆9,824億円から2025年度は58兆6,809億円になりました。一方、首都圏の中古マンションの成約件数は、2015年から2024年で7.0%の増加にとどまっています。2025年度は、売上高が前年度から0.2%、経常利益が9.6%減りました。また、知事免許の業者は、平成25年度と令和5年度を比べると22府県で減っています。
10年後の不動産業界はどうなっていますか?
10年後の業界を直接示す統計はありませんが、考える材料として、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、一般世帯の総数は2030年の5,773万世帯をピークに減り、2035年は5,726万世帯です。空き家は2023年に900万2千戸で、1993年からの30年で約2倍になりました。
不動産業界の市場規模はどれくらいですか?
財務省の法人企業統計では、不動産業の売上高は58兆6,809億円(2025年度)です。ただし、これは賃貸・管理・資産管理会社を含む不動産業の法人全体の数字で、仲介だけの市場の大きさではありません。
まとめ: 不動産業界の今後は、業者数・事業所・件数と価格・地域・市場規模に分けて読む
- 不動産業界の今後は、業者数・事業所の大きさ・取引の件数と価格・地域の差・市場規模に分けて読む
- 宅建業者は2025年3月末で13万2,291業者と11年続けて増え、この10年、新規免許は毎年およそ5,600〜7,000件、廃業の届出も毎年およそ3,600〜4,000件ある
- 不動産業の事業所の81.7%、仲介業の事業所の71.4%は従業者1〜4人(雇用者のいない個人経営を除く)。SUMiTASは1名から開業できる
- 首都圏の中古マンションは、2015年から2024年で成約件数が7.0%増え、平均の成約価格は69.1%上がった。仲介の手数料の上限は代金に応じて決まるため、価格の動きは1件あたりの手数料の上限を通じて、仲介の売上にも響くと考えられる
- 知事免許の業者が22府県で減り(平成25年度→令和5年度)、宅建業者の事務所がない市区町村が247(14%)ある。事務所が少ない理由は資料からは分からない
- 「市場規模」として出てくる法人企業統計の不動産業の売上高は、2025年度で58兆6,809億円。賃貸・管理を含み、仲介だけの市場の大きさではない
- 一般世帯の総数は2030年の5,773万世帯がピークと推計され、2035年は5,726万世帯。空き家は2023年に900万2千戸で、1993年からの30年で約2倍になった
※この記事の内容は、2026年10月時点の情報にもとづいています。制度や金額は変わることがあるため、最新の情報は各機関・各社の公式サイトなどでご確認ください。









